俺様、何様、登坂様 (ページ15)

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意気地なしページ15

「もしもし、」

『…なにしてんの』

怒ったような声に、背筋がぴんとなる。

チラッと直人を見ると、顔の前でバツをつくっていた。

“今は言うな”の合図。

「えっと、友達とごはん」

『…帰ってきたらお前居ないから、何かあったのかと思った』

本気で、心配してくれていた臣に対して連絡をしなかった自分に反省する。

「ごめんなさい…」

『今どこ？迎えに行くわ』

「えっ、いいよ！自分で帰れる！」

『良くねーから。お前はそこから動くな』

明らかに機嫌の悪い臣。

今は大人しく従うしかない、と場所を伝えて電話を切った。

「今から迎えに来るって」

「良かったな。じゃあ、残り食べて出るか～」

「直人、」

「ん？俺の事はいいからさ、Aはちゃんと素直にならないと」

「素直？」

「そう。言いたいことはしっかり言わないと伝わらないから」

「うん、そうだね。本当にありがとう直人！！」

不安げにしていた表情が、すぐに明るくなる。

ただ、俺の心は曇り空。

「言いたいことは言わないと伝わらない」なんて自分で言って笑える。

俺自身に向けた言葉。

「だめだったら、いつでも俺のところに来ればいいよ」

そうやってかっこつけて言えたらな、

俺の意気地なし。