上司は○○シリーズ【降谷零】

上司と口紅2 ページ48

「あ、ちょっと！」
「・・・ふーん。お前はこういうのが好みか。」

パンパンと手で叩くのは開いていたページの俳優さん。
まさか降谷さんの方がカッコいいですなんて言えるわけもなく。
でもなんとなく癪に障ったのでバッと雑誌を取り上げる。

「残念でした〜私が好みなのはこれです！」

パラパラと該当のページを開き、降谷さんの目の前で見せる。

「・・・お前はブレないな。」

ある意味関心とも取れる溜息を誘ったページはデートの時に乗ってきてほしい車特集。
やはり人気なのはセダンや外車だが私はそんなものよりも断然これだ！と指を指してるのは番外編のある車。

「GT-Rは女子の憧れです！」
「それはお前だけだ。」

このディテールたまらん！
アクセルを踏めばその分答えてくれる加速！
BOSSのスピーカーにレイズのホイールが標準装備！
しかも4人乗り！
こんな素晴らしい国産のスポーツカーなど皆無に等しい！

そう力説すれば盛大にため息をつかれる。
はいはいと聞き流されまた雑誌は降谷さんに奪われる。

「・・・関心だな。」

折り目のページを見た降谷さんは内容を見て頷く。
元々潜入調査もあるから化粧の一つでも覚えろといったのは降谷さんだ。

「A、お前にはこの色は似合わない。」
「え？・・・あぁ、口紅ですか？」

一番深く折り込みを入れていたのは新色のリップのページ。
今年のトレンドは真っ赤なルージュだそうで確かに街中を歩けば唇が赤い人が多いなぁーと思ったのを覚えている。

「今のトレンドだそうですよ？」
「トレンドでも人に似合う似合わないがあるだろう。」
「そうですけど・・・自分じゃわからないんですよねー。」

だから片っ端から試すしかない。
デパ地下のコスメ売り場も何度か足を運んだことがあるがあそこはその場では綺麗に見えても、いざ家で使うと違うのだ。
きっと照明のせいだろう。

「なら、俺がお前に似合う色を買ってきてやるよ。」
「ほんとですか？！・・まさか紫とかだったりしません？」

この上司ならやりかねん。
最近奇抜な色が出てるからこれなら似合うだろ〜付けてみろと職権濫用しかねない。

「アホか、ちゃんと選んでやるよ。」

一抹の不安を覚えながら遠くでお昼の終了を告げるチャイムが聞こえた。

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