上司は○○シリーズ【降谷零】

上司と太陽と犯人6 ページ27

まさかの殺人事件が起きてしまい、海水浴どころじゃなくなってしまった。
県警から誰が来るかひやひやしたが目黒警部と高木刑事だったのでホッと胸をなでおろす。
県警に数人知り合いがいるのだがそれに見られたらヤバイ。
降谷さんは警察学校を出てそのままエリートの公安所属だが私は違うのだから。
事件はあっという間に降谷さんの仮の姿である私立探偵の助手としての安室さんと、コナン君が解いてしまった。
しかし、それがいけなかった。
犯人が逆上して海の方へ逃げたのだ。

「待て！早まるな!｣

警部達が血相を変えて犯人を追う。
傍から見れば自ら入水して命を絶つように見える。

――いや、違う。

直感で犯人はある一点を目指しているのが分かり私も海に目を向け、目的のものを見つけそれに向かって走った。

「Aさん？！」

コナン君が叫ぶ声が聞こえるが今はそれに構ってられない。
犯人を逃がすのは警察官としてあってはならないから。

目的のもの、それは水上バイク。
沖に出られると捕まえるのが困難になる。
私の読み通り、警官を振り切り犯人は水上バイクに跨っている。
私も跨りながらキーをオンにすれば持ち主の男性が慌ててこちらに駆け寄ってくる。

「ちょ、お姉さん？！」
「後で返します。」

そういうと同時にセルを回す。
犯人を見ればすでに発進している。

相手は125馬力だがこちらは183馬力の水上バイク。
――勝てる。

無意識に笑ってしまう。
アクセルを開き、犯人にグングン近付いていく。
相手もこちらに気が付いたのかスピードを上げるがやはりそこは馬力の違いであっという間に追いつく。
平行して走りながら相手に勧告する。

「止まりなさい！」
「何だお前！来るんじゃねぇ!!｣

――まぁ易々と止まるなら自首するわな。

なら、と前から来る大きい波を捕らえながらアクセルを全開にして車体思いっきり傾けながら犯人の水上バイクに回り込む。
波が車体に当たり大きな飛沫を上げ犯人に襲い掛かる。

「?!｣

無意識にグリップから手を離した犯人は波と一緒に海へ放りだされる。
それを見届けながら私はアクセルを戻した。

「た、助けてくれ!!｣

救命胴衣を付けていないから犯人はパニックになりながら助けを請う。

「なら、自首します？」

ニッコリ笑いながら犯人からある言葉を引き出す。
なんとなくパワハラセクハラ上司に性格似てきたかもと頭の片隅で思いながら。

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