上司と並々のエスプレッソ3 ページ16
「どうでしたか？」
「・・・中々苦味が強いですね。さっぱりはしてますが。」
「そうですか、やはりミルクを入れるべきでしたね。」
嫌味を込めて感想を伝えれば平然と言ってのける安室さんに頭痛を覚える。
「貴重な意見ありがとうございました。これを召しがってください。」
そう言ってコトリと小さなお皿に3枚のチョコレートが机に置かれた。
これ幸いにと一枚手に取り口に放り込む。
「？！」
「美味しいですか？これはブラジルから取り寄せたチョコレートなんですが、このコーヒーとも相性抜群だと思います。」
「・・・・・・そうですね。」
ーー裏理事官、泣いて良いですか？
たしかに美味しいチョコレートだろう。
だがそれは甘いミルクティーと一緒ならの話だ。
コーヒーの苦味からチョコレートの苦味へ移る。
カカオ99％かというぐらいめちゃくちゃ土の味がする。
『お前にはこれくらいがちょうど良い。』
『・・・鞭ばっかりですね。』
『なんだ？飴が欲しいのか？』
『あとが怖いので遠慮します。』
これ以上いると安室さんの嫌がらせでで殺されかねない。
ハンドサインを早々に切り上げて帰ろう。
「あ、大変！」
「どうされました？」
「クライアントが時間は早めてくれって。名残惜しいですが今日はもう行きますね。」
何も着信していないスマホをさも今、連絡が来ましたというふうに装いマンゴージュースを一気に流し込む。
苦さの後の甘さは天国だ。
席を立ちレジまで向かえば安室さんが会計をしてくれるようだ。
「そうですか、残念ですね。」
目が笑ってる。
全然残念がって無いじゃないか！
ここでそれを顔に出せば相手の思うツボだ。
努めて冷静を装う。
本来の目的は達したのだから。
「残念ですが・・・また来ます。」
「はい、是非。お会計は800円になります。」
「1,000円でお願いします。」
そっとお釣りとともに渡されたのはSDカードと何かの包み紙。
それをさっと財布にしまう。
――カランカラン。
「ありがとうございました。」
にこやかな安室さんの見送りを受けてポアロから出る。
何事も無いようにしばらく歩いて自販機で飲み物を買うふりをして財布から包み紙を取り出す。
包み紙の中身はピンク色の飴だった。
それを口に放り込めばイチゴの味が口いっぱいに広がる。
「本当に飴だよ・・・。」
ボソッと呟いた言葉は風に乗って消えていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 182人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月詠(プロフ) - レイさん» レイ様、御指摘ありがとうございます。修正しましたm(_ _)m (2019年8月11日 21時) (
レス) id: b52fda04e7 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 上司とサーブその後2で降谷が降る谷になってますよ！ (2019年8月10日 14時) (レス) id: 2a5165e334 (このIDを非表示/違反報告)
月詠(プロフ) - マイアミさん» マイアミさんありがとうございます！これからも気に入っていただけるように更新しますのでよろしくお願いします(^ ^) (2019年6月30日 21時) (レス) id: b52fda04e7 (このIDを非表示/違反報告)
マイアミ - 面白いです！トリプルフェイスで降谷さんが１番好きなので降谷さんメインは私的にすごく嬉しいです！話もコメディで私の好みにドンピシャでした！更新頑張ってください！ (2019年6月29日 23時) (レス) id: 5a7eba5d7a (このIDを非表示/違反報告)
月詠(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます！そういっていただけると励みになります^_^ (2019年6月14日 18時) (レス) id: 642c4e30ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月詠 | 作成日時：2019年6月7日 18時
