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上司と並々のエスプレッソ2 ページ15

「お待たせしました。マンゴージュースです。」
「ありがとうございます。」

早速一口含めば濃厚な甘さが喉を通る。
目の前では安室さんがサイフォンのメンテナンスをしている。
そっとハンドサインを送る。

『裏理事官より確認してもらいたいデータを預かってます。』
『すぐにか?』
『はい。』

そうやりとりをすれば安室さんはサイフォンから手を離し、エスプレッソカップを手に取る。

「そうだAさん、最近気になる豆をブレンドしてみたんですが少し試飲してもらえますか?」
「良いんですか?是非飲んでみたいです。」
「ちょっと待ってくださいね。」

そういうと安室さんは手早くエスプレッソマシーンに豆を入れてスイッチを押す。

ーー試飲用に小さいカップじゃ無いのか!

普通のコーヒーは飲めるがエスプレッソの濃厚なコーヒーは苦手だ。
それをこの上司は知っていてワザと作っているのだ。

「はい、どうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」

小さいエスプレッソカップに並々と注がれた黒い液体。
明らかに量が多い。

「あ、それに付け合わせるチョコレートもあるんです。持ってきますので先に良ければ飲んでください。」

ニッコリと笑って安室さんは店の奥へ行ってしまった。
きっと渡したカードの中身を確認するのだろう。
それよりも私はこの残されたエスプレッソと戦わなければならない。
ミルクや砂糖をつけてくれれば良いのに上司はそれさえも拒む。

「あの女の人いいな、私もサービス欲しい〜。」
「でもあれエスプレッソっぽいから私達には無理だよ。」

安室さんと私のやりとりを見ていた女子高生はヒソヒソと話す声が聞こえる。

サービスなんかじゃ無いから!嫌がらせだから!

そう叫びたいけれどできないのがこの縦社会。
誰にも聞こえないようにため息を一つついてカップを手に取る。
流石に一気飲みは怪しまれるので数回に分けて飲むことにした。

「〜っ。」

苦味が喉を通り、予想以上の苦味に顔が歪む。
今すぐマンゴージュースを飲みたいが飲めば怪しまれる。
でもこの口の中の苦味をどうかしたい。
そんな葛藤を続け、少し苦味がマシになったところでチラッとテーブル席を見て誰も私を見ていないことを確認して、まだ半分以上残っているエスプレッソを一気に喉に流し込む。
苦味を我慢するのに目を瞑っていたら私の前に誰かが立つ気配がした。

上司と並々のエスプレッソ3→←上司と並々のエスプレッソ1



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月詠(プロフ) - レイさん» レイ様、御指摘ありがとうございます。修正しましたm(_ _)m (2019年8月11日 21時) (レス) id: b52fda04e7 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 上司とサーブその後2で降谷が降る谷になってますよ! (2019年8月10日 14時) (レス) id: 2a5165e334 (このIDを非表示/違反報告)
月詠(プロフ) - マイアミさん» マイアミさんありがとうございます!これからも気に入っていただけるように更新しますのでよろしくお願いします(^ ^) (2019年6月30日 21時) (レス) id: b52fda04e7 (このIDを非表示/違反報告)
マイアミ - 面白いです!トリプルフェイスで降谷さんが1番好きなので降谷さんメインは私的にすごく嬉しいです!話もコメディで私の好みにドンピシャでした!更新頑張ってください! (2019年6月29日 23時) (レス) id: 5a7eba5d7a (このIDを非表示/違反報告)
月詠(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます!そういっていただけると励みになります^_^ (2019年6月14日 18時) (レス) id: 642c4e30ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月詠 | 作成日時:2019年6月7日 18時

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