教師失格【Sho.s】 (ページ14)

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「ないな～」

唇を人差し指でトントンと叩きながら、先生が

ベッドのとなりに置いてあるパイプ椅子に腰掛ける。

･

あ。と小さく呟いた先生が、ズボンのポケットからハンカチを取り出した。

「いいのもってんじゃん俺～！」

･

先生が保冷剤をそれで包み、私の額に当てた。

嬉しさと嬉しさと嬉しさのあまり、軽いパニックになってる私を

先生は大きな目でジーっと見つめ、

「お母さん、仕事遅いよね？」

と、また人差し指で唇をトントン、叩いた。

･

私の家は、母子家庭だ。

父親の顔は、写真でしか見たことがない。

Aがお腹にいるときに、お父さんはお母さんを守って死んじゃったの。って、お母さんが言ってた。

お母さんは、母の手一つで私をここまで育ててくれたんだ。

そのことを知ってる先生は、いろいろ気を使って、三者面談のときはわざわざ家まできてくれた。

先生は、とことん優しい。

イケメンで、優しくて、生徒想いで・・・・・

･

「御坂さん？」

目の前に先生がいるのを忘れていて、

先生との距離に、

カーッとまた顔が熱くなった。