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「無いようだね。やはり、無自覚だったか」
「…リッパー、」
「ああけれど、今回は不問ということにしようじゃないか」
そっと塞がれた唇。
以前許可をもらって仮面をずらしたとき、彼の仮面の向こうには霧が立ち込めるだけの無が広がっているのだと知った。
仮面によって形作られる、後頭部や、顎や、首は所謂残留思念のようなモノなのだろう。
それでも濡れている感覚や、温かな体温を感じるのだから、やはりココは普通じゃない。
仮面がつるりとしているから直接唇を食めないのは残念だが、それはそれで一興。独りよがりじみたキス、なんていうのも悪くない。
束の間の休息に、さっきは掻き消された何故を問う。
くすりと笑った彼。
すっかり体温を吸った仮面をもう一度私の唇に押し当てて、私の耳元で囁いた。
「生物としての急所すら私に委ねられるのなら、その信頼に応えるのも悪くないと思っただけだ、マイディア。君の1番が私である限り、私は君にとって紳士であり続けよう」
ーー
不機嫌なフリして、実は別段気になる出来事などないリッパーと、その掌の上で転がされる夢主の話。
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作者名:Ash | 作成日時:2020年2月7日 2時