今日よりもっと、好きになる。【JN】 (ページ5)

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外の空気を吸おうと、ジンさんの用意してくれたホットミルクの入ったカップを持って、僕は階段に腰を下ろした。吐く息と、カップから立ち上る湯気がなんか似てる。冷えた体に温かい飲み物が染み渡って、いつもよりも美味しく感じた。

『ジミン君？』

「Aちゃんおはよう」

『おはよう。こんな朝早くにどうしたの？』

「ジンさんに呼ばれて…。Aちゃんは？」

『散歩がてらにコンビニでも行こうかなっと』

トン、トン、と上から階段を降りてきたAちゃんが、僕の隣に腰を下ろした。肩まである髪を後ろに束ね、服装はラフな格好。

普段はスーツだから。
なんか見慣れない姿が新鮮。

「Aちゃん、ジンさんにチョン君のこと話したんだね」

『うん…。でも、言わない方が良かったのかも…』

「いつかは気づくよ。ジンさん、Aちゃんの些細な言葉も行動も見逃さないから。今、テヒョンアが捕まってるんだけどね…」

『そうなんだ…。チョン君とは仕事の先輩後輩の関係だけなのに』

「だよね。でも、好きな人のこと知りたいと思うものじゃない？自分のこと知ってもらいたいと思うものじゃないかな。ジンさん、いい人だよ。自分が騙されていても、その人を庇ってあげられるぐらいにいい人。いい人過ぎて、僕もテヒョンアも心配なんだ…」

恋愛に臆病になるのは、過去の痛みを思い出すから。
恋愛に積極的になるのは、その辛い過去を忘れたいと思うから。

ジンさんは、後者だと思う。
けど、相手から迫られたらきっと逃げ越しになっちゃうんだろうけど。

『私も…ジンさんはいい人だと思うよ』

「あれ、ひょっとしてAちゃんってジンさんのこと好き？」

『どうかな…、ジンさんがいると楽しいとは思ってるけど…』

僕の質問に、はにかんだように答えるAちゃん。
これは脈あり？
絶対にジンさんには言えない。

「Aちゃん、どっか行くの？」

『ジンさん…その散歩に』

「ちょ、ちょっと待ってて！危ないから僕も付いて行くよ。そこで待機してて！いい、絶対だよ！」

Aちゃんの声に反応したジンさんが、管理部屋から顔を覗かせてそう言った。

『ジミン君、危ないと思う？』

「そう言わず、ジンさんに守らせてあげてよ。それがジンさんの望みでもあるんだから」
　

二人の空気感、二人の会話。
側で見ている僕は、それが好きなんだ。