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夕食を終え、なんとなく流れているテレビをぼうっと観る。
内容なんて全然頭に入って来ないのは…。
「何か面白い番組やってる？」
『あ、いえ…』
濡れた手をエプロンで拭きながら、ジンさんはいつもの定位置、私の隣に座った。横からじっと見つめられて、気恥ずかしさに見られてる側の頬を髪を触る仕草で隠した。
「警戒しなくても大丈夫だよ。さっきテヒョン達に言ってた事は、冗談と言うか。もう少ししたら帰るから」
『冗談なんですか…？』
「ごめん……冗談ではないんだけど…、強引に迫ったりしたら嫌だよね…？」
嫌なんかじゃない。
けど、初めての経験に緊張してどうしたらいいのかわからない。
「お風呂入ってゆっくりしておいで」
『お風呂…』
「ああ、違う！別に深い意味はないから。何を言っても…誤解されそうな雰囲気で…やっぱり帰るよ。夜は冷えるから温かくして寝るんだよ」
立ち上がるジンさんの後ろ姿を見つめ、このままでいいんだろうかと自分に問いかける。私はジンさんが好きで、ジンさんに触れて欲しいと思う。恋人同士のような、スキンシップも。本当は望んでいる。
『あの、ジンさん…』
「どうしたの？」
『私…その…、』
真っ赤な顔した私の顔を「体調でも悪い？」とジンさんは覗き込んできて。
「少し熱っぽいかな…」
それはジンさんの手が私の額に添えられたから。
好きな人に触れられたら、体温は上昇する。
『帰らないでください…』
「看病なら任せて。Aちゃんが落ち着くまで側にいるから」
『そうじゃないんです…』
「そうじゃないの？」
なんて言えばいいんだろう。
私から誘う言葉。
引き止める言葉。
ここにいて欲しくて、ジンさんの首に腕を回して自分の胸へと抱き寄せた。
「ど、どうしたの！？そっか、体調悪い時は人恋しくなるもんね。僕でよかったらなんでも言って」
『本当に何でも言っていいんですか…？』
「もちろんだよ。Aちゃんのお願いごとを僕が断ると思う？」
『私……ジンさんに抱かれたい…』
思い切って言ってみたのに、ジンさんは無言のままで。
どんな反応をしてるのか顔を上げて覗き込めば、唇に柔らかな感触。
「そんなお願い事なら、いくらでも叶えてあげるよ」
私の腰に手を回したジンさんは、「ベッドに行こう」と私の体を抱き上げた。
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2021年3月7日 21時
