今日よりもっと、好きになる。【JN】 (ページ30)

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「Aちゃん帰ろうか？」

『ジンさん…』

「はいそうですかって返すと思ってんのか？俺とAちゃんは仕事の打ち合わせしてんだよ。部外者のあんた一人が帰ればいいだろ？」

私の手を握り部屋を出て行こうとするジンさんの進路を阻むように立ち塞がるヨン先輩。私の腕を掴もうと伸ばしてきたヨン先輩の手を、ジンさんは払った。

「仕事の打ち合わせにしては一方的な攻め方をしてたみたいだけど、それって仕事のパートナーとしてフェアじゃないよね？打ち合わせに体の関係も必要ないし、これ以上Aちゃんに付き纏うって言うなら。僕も黙っていないよ」

「あんたに何ができるって？」

「僕には頼もしい仲間がいるんだよね、君色々と黒い噂もあるみたいだから。自分がよくわかってるんじゃないの？本当に困るのは君の方じゃないのかな…」

黒い噂とは何なのか、私には全くわからない。
ただヨン先輩には思うところがあるのか、舌打ちをしながら道を開けてくれた。

『あのジンさん…ヨン先輩の噂って？』

「ああ、知らなくていいよ。どうせならAちゃんには僕の事に興味持って欲しいな。何が好きなのかって、答えはAちゃんなんだけど。趣味はAちゃんの日記をつけることと、Aちゃんの部屋を眺めること。得意料理はAちゃんの好きなもの。それから、」

『まだあるんですか…？』

「好きな子の事なら話は尽きる事はないよ…あっ、ごめん…ずっと手を握ったままだった。すぐ離すから______」

『そのままで…、』

「いいの？」

答える代わりに、ジンさんの手を強く握る。

普段は積極的で、図々しいくせに。
いざ、そう言う局面になると消極的で。

『私……ジンさんのこと、』

「ちょ、ちょっと待って！！ここで告白とか…その心の準備が、」

『本当は男らしい人なんだって、今日気付きました。助けに来てくれてありがとうございます』

「うん、それはいいんだ。それよりも、それで終わり？」

『そうですよ』

そうなんだ…と拗ねたようなジンさんの表情。
もっと他の事を期待してたんだと思う。

『それと…私ジンさんのこと好きです…』

「好きなんだ…そっか……ん？えぇ！？今、Aちゃん僕の事好きって言った？言ったよね？僕の聞き間違いなんかじゃないよね？」

何度も確認してくるジンさんに、私は『言いましたよ』と恥ずかしくて俯く。

ジンさんの嬉しそうな声が、周りに響いていたから。