今日よりもっと、好きになる。【JN】 (ページ29)

今日:4 hit、昨日:23 hit、合計:210,757 hit

28 ページ29

.

『ジン…さん…どうしてここに…、』

「Aちゃんの助けを求める声が聞こえたから」

もし何かあったとしても、来てくれるのはチョン君だと思っていた。
チョン君にだけ教えた居場所。

それなのに、目の前には来るはずもないジンさんがいて。

「今すぐAちゃんから退いてくれるかな？」

「いきなり入って来てなに？」

「挨拶もしたくないんだよね君と。本当は言葉も交わしたくないほど、僕は君にムカついてる。けど、はっきりとさせないと今後も君みたいな男がAちゃんに近づいて来ようとするから。少し僕と話をしようか？」

いつまでも私の体から退かないヨン先輩の肩を掴み、ジンさんは強引にヨン先輩と私を引き離した。ソファーに倒れ込んだままの私の背に腕を回して、優しく抱き起してくれたジンさんは「何も心配いらないからね」と、小さな子供をあやすように私の背中を優しくさすってくれる。

この温もりが欲しかった。
この安心できる声が聞きたかった。

何より、ジンさんに会いたかった。

「もしかしてAちゃんに料理作ってるのあんた？」

「気安く彼女の名前呼ぶのやめてくれるかな。Aちゃんが許しても、僕が不快なんだよね」

「あんたさ、何の見返りもなく料理作ってるわけ？下心あるよな？優しいフリして近づいて、あわよくば襲ってやろうって魂胆なんだろ？それって俺と同じなんじゃないの」

ヨン先輩の言葉に、私の背中をさすっていたジンさんの手が止まった。
下からジンさんの顔を覗き込めば、私と視線が合ったジンさんは微笑みを浮かべている。

こんな柔らかい笑みを浮かべているジンさんは初めてで。
その綺麗な顔に思わず見惚れてしまった。

「好きな女の子と一緒にいて、下心のない男なんていると思う？いつだって僕はAちゃんに触れたいと思ってる。けど…僕と君の価値観は全く違う。君は遊びのつもりでAちゃんに手を出そうとした。彼女の気持ちを無視して、自分の欲望を満たそうとするだけ。僕ならAちゃんの気持ちを尊重して、彼女が僕を受け入れてくれるまでいつまでも待つつもりだ。何年かかろうと、Aちゃんを好きな気持ちは変わる事はない。だからAちゃんは自分のペースで僕を好きになってくれればいい。Aちゃんが好きになってくれるだけでも、僕は嬉しいんだ」

どうしてジンさんはこんなにも優しいんだろう。
温かくて、ジンさんの側は心地いい。