white 40 ページ7
学校の最寄り駅に着いたのはいつもより2本遅い時間だった。それでもまだ早い時間だから、仕方なく待合室でじっとしておくことにした。
クーラーが効いたそこで、何も考えずぼーっとしていると、急に話しかけてきたのが、ベッキョンくんだった。
「なにしてんの？」
「あ....暑くて涼んでた」
「行かないの？」
「...行こうかな」
チャニョルくんに会いたくないから行かない、なんて言えるはずもなく、ベッキョンくんと一緒に学校に行くことになった。
ベッキョンくんは自分のペースで歩く。
ベッキョンくんは割とスローペースで、私が早くなり過ぎないようにゆっくりしたくらいだ。
いつもならベラベラと喋り続ける彼が黙っているのはきっと朝で眠いからだろう。
私も私で、話を考え出すのも面倒で何も喋らないでいた。
「Aちゃん、なんかあった？」
突然そう言われてドキッとする。
もちろん身に覚えがあることだし、まさか何かあるかのように見えていたのか、と思うと恥ずかしい。
ベッキョンくんは、珍しく優しげで、催促せずにただ私を見ている。
ずっと昨夜からもやもやしていた私は、心配してくれたベッキョンくんに一気に心が開けた。久々に、誰かを頼れる安心感が嬉しい。
「んー、大したことないけど、ちょっと友達関係で」
「え？喧嘩？」
あまりにも驚いた様子のベッキョンくんにハテナが浮かぶ。そんなに珍しいことだろうか。
「よく分かんないよ私も、なにがなんだか....」
「.....うん 俺もわかんないけど....」
「そりゃそうだ」
「いや、嫌なことがあったら俺が一発芸で返してあげるよ」
「えっ？」
奇想天外な返答に思わず吹き出した。
シリアスな答えが返ってくるのかと思って構えていたし、ベッキョンくんも真剣そのものの表情だったから。
ベッキョンくんはすっかりいつもの適当な感じに戻って、ニコニコ、いやニヤニヤしている。
「じゃあ今度なんかあったらやってよ？」
「うん、いいよ」
むしろもっと何が何だか訳が分からないけれど、微笑むベッキョンくんを見ると、なんだか憂鬱な気分が消えていく気がした。
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作者名：よるちー | 作成日時：2016年8月13日 1時
