シアンに溶け合う白と黒2 (ページ30)

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何事もなかったようにチャニョルくんと話に行く、私が悪いのだろうか。

4階までの階段を登りながら、私はそう考えた。

私よりも脚が倍近くあるからから、チャニョルくんは二つ飛ばししながら速いスピードで階段を登って行く。

もしこの人が、私の内心も放課後の状況も知っていて、わざと教室の前を通ったっていうならば、呪ってしまいたいと思った。

そう考えておきながら、恨めしいはずのこの後ろ姿を見てこんなにも心臓が泣いているんだから、ほんとうにおかしい。

外は珍しく雨が降っていた。
授業がなく、いつもはクーラーがついていない教室は暑いが、雨により室内が少し暗くなって夏だと忘れるくらい涼しかった。

「ベッキョンくんが、ユーチューブに動画投稿したら消されたっていう話知ってる？」

私は昨日、聞いてないようで内容は頭に残っていたベッキョンくんの話をした。

チャニョルくんは、「なにそれ」と興味ありげにききかえした。

「昨日の帰りに聞いたんだけど...」

「ていうか、ベッキョンと一緒に帰ってるの？」

「..... 知ってるんじゃないの？」

私はつい言ってしまった。
チャニョルくんが今でも知らないふりをしようとするからだ。

私は正直、泣きそうになった。
私にも、みんなに対してと同じように演技をしていたから。

「いや、知らなかった....」

「嘘でしょう？だって、私も知ってるから、スヨンちゃんと付き合ってること....」

チャニョルくんは驚いた様子からすぐに真顔に戻った。

「彼女がいるって知ってるのに、こんな風に会ってごめん。チャニョルくんには自分のこと話せたからここちよくて.....でもチャニョルくんは私に話してくれないよね、何も。

.....勘違いだったかな、共感しあえるって思ってたのは」

自分で口にしておいて泣きそうになった。

全部勘違いなんだよ。

私が勝手に孤独とか憂いを分かってくれるのはチャニョルくんだけだって思い込んでいたんだ。

だけど一度溢れ出した思考は止まらなくなった。

でもやっぱりただ、黙って私を見ているだけのチャニョルくん。