white 60 ページ27
私がごめんねというのはちょっと違う気がした。だけど申し訳ないという気持ちがどうにか伝わらないかと、ギョンスを見つめてこくこくと頷いた。
すると、
「なんで頷いてるの？」
とギョンスが久々に笑った。
今私が何をすれば正しいのか分からないけれど、久々に笑ったのをみてとても安心した。
「困らせてごめんね、いっぱい悩んだんでしょ？」
「いや...うん...なんで？」
「ベッキョンが 」
思いがけない人物の名前にゾッとした。彼はどこまで話しているのかと少し怖くなったりもした。
強張る私を見ながらギョンスは言った。
「本当はAがチャニョルのこと好きなこと知ってたんだ....知ってて言ってごめん。
俺に気は使わないでほしいんだけど....」
全てを知った上だったことに驚いてしまう。私はそんなに分かりやすいのだろうか。
ギョンスにこんなこと言わせてしまって申し訳ない。
「いや、終わらせないとだめ....どうしても」
「....そうかな？ 好きなら好きでいればいいのに.彼女がいようとなんだろうと、自分がしたいようにすればいいよ。後悔しないように」
ギョンスの言葉がぐさりと胸に来る。
自分がやりたいようにする。それはちょっと難しいことでもある。だけどその後の言葉に背中を押された。
「俺も後悔すると思ったから」
友達の肩書きを捨てて本当のことを言うことがどれだけ勇気がいることか。
彼女がいると知っていても背中を押してくれるギョンスがとてもたくましく見えた。
＊
ギョンスの言葉を聞いてから、私がどうなりたいかをよく考えた。
もちろん好きなままでいることが自分に一番素直だ。ギョンスだってそう言ってる。私の心の奥底ではきっと言ってしまいたい気持ちが眠ってる。
だけどせっかく気持ちを断とうと朝の登校を避けたのだ。このまま続けていれば、頭だってチャニョルくんを友達だと認識してくれるかもしれない。
だから、私は、チャニョルくんと友達、または前までのお互いに存在も知らないままの関係でいることを選んだ。
クラス中の子たちが、チャニョルくんと彼女の関係を知り得て騒ぎ始めた後も、私は知らないふりをした。
思わず口に出したとき、チャニョルくんの口から直接そのことを聞くことが辛いと思ったから。
チャニョルくんも誰かと付き合い始めた、ということは一切口にすることはなかった。
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作者名：よるちー | 作成日時：2016年8月13日 1時
