シアンに溶け合う白と黒2 (ページ20)

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ニヤニヤしちゃうくらいに嬉しい。

あんな普通の挨拶がこんなに嬉しかったことってあったかな、前は気を使っていたからそれどころじゃなかったけど、初めて嬉しいと思った。

世界史だって目はぱっちり開いてたし、ほかに授業もいつもよりも気分良く受けられた。

「Aちゃんギョンスと帰る？」

「いや、今日は約束してないからいいや」

「そっか、じゃあ俺がギョンスと帰るね」

「どうぞ、ギョンスとおかえりください」

さっきまではベッキョンくんと話すのも億劫だったのにすぐにこれだ。自分が怖いなと思う。

逐一報告が面白いベッキョンくんを手を振って見送った。
昨日は一緒に帰ったけど今日は一人でいいや。

ベッキョンくんが帰って、友達と呼べる人が教室からいなくなった。ひとまずトイレを済ませて帰宅しよう。

そう決めて向かうと、女の子たちにバイバイしているチャニョルくんが廊下にいた。

誰かを待っているみたいだ。

誰を待っているのだろうとチラチラ見ながら歩いていたからか、目があった。

お互いに一瞬怯みながらも、認識し合えばそこからは自然な流れで話すことになった。

「課外お疲れ」

「うん、お疲れ」

すごく久々なのに、普通に話せていることが本当に嬉しかった。

ただそれだけの会話だったけど、私の中では大きな余韻となってチャニョルくんの声や、姿が浮かんでいた。

すぐにもう一度、見直した後ろ姿は、少しだけ遠い人のように感じた。