そもそもあの子は話を聞かないし周りを見ない (ページ3)

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1話:地に足がないページ3

18年という間、私は透明人間のように扱われ生きてきました。

高校の卒業式の後に撮られたクラスの集合写真。男女ともに、少し不慣れな感じで、はにかんだ笑顔を此方に向けています。

けれど私の顔は、そこには写っていません。

先生に用事を頼まれ、私がそれを済ましてる間に、屋上で撮影が行われていたのです。

その日の撮影に参加できなかった人でも、隅の方に、丸に囲まれて写っているのに、私の顔はありませんでした。

そのアルバムは後日に配布されましたが、担任も同級生も両親もそのことには気づいていませんでした。

それ以外にも同じようなことが起こり、辛い思いをすることは沢山ありました。

春休みの間、家出をしました。友達と遊んで来ると嘘をついて、こっそりバイトをして貯めたお金と、着替えを何着か大き目の鞄に入れて、家を出ました。

不安な気持ちを抱えたまま、私は何回も電車に乗りました。

しかしそんな不安な思いも、電車を降りて都会に立てば消えるもの。

初めての都会の散策は、とても興奮しました。

辺りを見渡せば青色や赤色の電気でキラキラ輝く沢山のビル畑は、とても美しいものでした。

田舎だとネット通販でしか手に入らないものが、都会のモールに行けば簡単に手に入る。正に夢のような世界でした。

一瞬両親の顔が思い浮かびましたが、全く気になりませんでした。