異世界はチートとともに。【イセスマ】 (ページ41)

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異世界40 ページ41

カルロッサ「お前の剣は正しい剣だな。
　模範的というか、動きに無駄がない。
　俺が重兵衛殿から習ったままの剣だ」

罪歌「！(そういう事か…)」

子爵が理解した何かが分かった
恐らく、その予想は当たっているかもしれない

八重「……それが悪いと？」

カルロッサ「悪くはないさ。
　だが、お前にはそこから上はないな」

八重「なっ……！？」

子爵の剣が上段に構えられ、今までにない闘気が溢れ出す

カルロッサ「いくぞ」

子爵が大きく一歩踏み出したと思ったら、
あっという間に八重の間合いまで飛び込んでいた。
振りかぶった剣が、八重の正面から打ち下ろされる。
それを受け止めるため、八重は木刀を頭上に掲げた…はずだった

次の瞬間、音を立てて八重が道場に倒れたのだ
脇腹を押さえ、呻いている

エルゼ「そ、そこまで！」

あの剣術……相当なものだな
肋骨辺りが折れる勢いだったが…

八重「うぐっ…」

カルロッサ「動かん方がいい。おそらく肋骨が何本か折れている。
　下手に動くと肺に刺さるぞ。
　そこのお前、治してやってくれ」

罪歌「はい」

苦痛に歪む八重の脇腹に手を翳し、回復魔法をかける
しばらくすると痛みが引いてきたのか、八重の表情も和らいできた

八重「御指南かたじけなく」

カルロッサ「お前の剣は影がない。
　虚実織り交ぜ、引いては進み、緩やかにして激しく。
　正しい剣だけでは道場剣術の域を出ぬ。
　それが悪いとは言わん。強さとは己次第で違うものなのだからな」

罪歌(やはり…この人の問う事は…)

子爵の射抜くような目が八重を貫く

カルロッサ「お前は剣に何を求める？」

当たり、か…
八重の剣撃から理解したのだろう

父親と同じ剣を見ているだけで、八重自身の剣を見出せていない
父親と同じ道を歩もうとしている八重は、自分が歩む道が見えていない
父親とは違う求めるものが剣にある…
それを八重は気付いていないのだ

八重は何も答えなかった。
黙して、ただ木刀を見つめる

カルロッサ「まずはそこからだな…されば道も見えてこよう。
　見えたなら、また此処へ来るがいい」

子爵はそう言い残した

カルロッサ「罪歌殿」

罪歌「なんでしょうか？」

カルロッサ「それを教えては意味がない。
　道が見えて確信が来れば、教えてやれ」

罪歌「心得ました」

子爵は道場を去っていった

子爵にはお見通しだったか…
ポーカーフェイスだった筈なんだがな…
まぁ、この意味では良いのかもしれないな