異世界36 ページ37
罪歌「冬夜、目が治ったら同じ魔法を重ねてかけてくれ。
後遺症から再発はよくあるケースだからな」
冬夜「分かった」
罪歌「必ず治します……＜リカバリー＞」
柔らかな光が私の手のひらからエレン様の目に流れていく
光がゆっくりと消えてから僕は手をどけた
しばらく宙をさまよっていた視線がだんだんと落ち着いていく
パチパチと瞬きをしたかと思うと、顔を公爵とスゥの方へ静かに向けた
エレン「……見える……見えます…見えますわ！
あなた！スゥシィ！(涙流す」
とエレン様の目から涙が零れ出す。
アルフレッド「エレン……ッ……！」
スゥ「母上ッ！！」
三人は抱きついて泣き始めた
5年ぶりに見る娘と夫を、泣きながら笑いながら、
エレン様は見つめ続けていた
愛する娘の顔を、夫の顔を、涙に濡れた瞳で、いつまでも
そばで見守っていたレイムさんも顔を上に向け、涙を流していた
罪歌「微笑)冬夜、あとで頼む」
冬夜「うん(微笑」
後ろを見てみると、エルゼ達も泣いていた
なんだろう……この場で泣かない私と冬夜は場違いなのかと思えてくる；
失敗の不安から成功の安堵のせいか…まぁどっちでもいいか
今はこの感動を心に焼き付けておこう
アルフレッド「君たちには本当に世話になった。
感謝してもし切れないほどだ。
娘だけではなく妻まで…本当にありがとう」
応接間で公爵が深々と頭を下げる
どうもこういうのは未だに慣れないな；
転生で何度も経験したはずなのに…
あ、でも貴族じゃなくて王族が多かったからか？
罪歌「本当に気にしないで下さい。
スゥも無事、奥様も治った…それでいいじゃないですか(微笑」
アルフレッド「いや、そんなわけにはいかない。
君たちにはきちんと礼をしたいのだ。
レイム、例のものを持って来てくれ」
レイム「かしこまりました」
レイムさんが銀の盆に何かいろいろなものを乗せてやってきた
アルフレッド「まずはこれを。娘を襲撃者から助けてもらったことと、
道中の護衛に対する謝礼だ。受け取って欲しい」
ジャラッとおそらくお金が入った袋を私に差し出す
アルフレッド「中に白金貨で50枚入っている」
エルゼ・リンゼ・八重「！？」
白金貨……金貨の上の貨幣だよな？
それを50枚…一人10枚でも相当な生活費になるが…
流石に私達には手に余る金額だぞ；
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作者名：神城イサナ | 作成日時：2018年12月21日 23時
