異世界はチートとともに。【イセスマ】 (ページ28)

今日:16 hit、昨日:1 hit、合計:13,137 hit

異世界27 ページ28

馬車はレンタルで借りる事が出来たらしく、
私とエルゼとリンゼが馬の扱いに慣れていた

二人曰く「親戚の人が農場を経営していたらしく、
　子供の頃から馬の扱いには慣れている」とのことだ

馬車は順調に進んで、リフレットの町を出発して、
その次のノーランの町を素通りし、
アマネスクの町に到着したとき、ちょうど陽が暮れてきた

今日はこの町で宿を取ることにしよう
そう思った瞬間、冬夜が旅人らしからぬことを言い放った
「ゲート」が使えるんだから、一旦リフレットに戻り、
「銀月」に泊まって、また明日ここからスタートすればいいのでは？

との事で、即反対してやった

エルゼ「知らない町で、知らない店を訪ね、
　知らない場所で泊まるのがいいんじゃない。
　分かってないわね」

罪歌「冬夜…これがゲームの世界だったらそんな事出来るのか？
　そういうシステムがないもので」

冬夜「無理だな」

罪歌「普通は移動魔法ってのはあまりないからな…
　それを分かっててその提案は怒られるぞ」

冬夜「むぅ…」

宿を決めて馬車を預け、皆で食事に出かける
何処か手頃な店に入ろうと町中を散策していたとき、
道端から争う声が聞こえてきた。
野次馬が集まり、何やら騒ぎが起きているようだ

冬夜「なんだ？」

人込みをかきわけ、騒ぎの中心に辿り着く。
そこには数人の男たちに取り囲まれた異国の少女がいた

あの格好って……
冬夜を見ると、頷いた

やはり、あの格好は間違いないよな

リンゼ「あの子…変わった格好してますね…」

罪歌・冬夜「…侍だ」

リンゼの疑問に短く答える

その侍の子を取り囲むように、10人近い数の男たちが
剣呑な視線を向けている。
すでに剣やナイフを抜いている者もいた

男たちが一斉に襲いかかる。
侍の子はひらりひらりとそれを躱し、
男の一人の腕を取って、軽い感じでくるりと投げた
背中から叩きつけられた男は悶絶して動けなくなる

相手の勢いを流し、体勢を崩して投げる
合気道…柔術だろうか…侍の子はそのまま続けざまに二、三人を
投げ飛ばしていったが、何故か不意によろめき、動きが鈍る

その隙を突いて、背後から剣を構えた奴が斬りかかった
助太刀として相見参するか

罪歌『動きを止めよ！』

言霊を使って男たちの動きを止める
止まっている間に剣を持った男を蹴り飛ばした

突然の乱入者に侍の子はびっくりしていたが、
敵ではないと判断したのか目の前の自分の相手に注意を戻した