30話 ページ31
,
母が買い物を済ませて帰ってきたのは予想外で、
それまでの経緯を父が母に説明すると、
「私も混ざりたかったァァ！！
くそぉっ、仕事めぇ……っ」
なんて、子供みたいに羨ましがりながら、
悔しそうに買ってきた食材を冷蔵庫に仕舞っていた。
買い物に行かなくてもよくなった私と父は、
母が昼食を作っている間に お手伝い最後のゴミの分別を始めようと中庭に移動していた。
「A、"練習"しようか」
『…！ は〜いっ』
父のその言葉に反応して返事をする。
"練習"とは"個性"の練習だ。
私自身、上手く扱えないため同じ"個性"である父に教わっている。
父も少年時代、あまり扱えなかったらしい。
今は各地で引っ張りだこになるぐらい扱えている。
そんな父に連れられて中庭に移動する。
「退院明けで間もないから、今日は少しだけ使って様子見だな。」
『まずはバリア？』
「…大中小のバリアを一つずつだ。
まずは小さいバリアから」
うん、と頷いて、両手を合わせてピン球程のバリアを造ると、何処かそれに違和感があった。
出来たバリアを人差し指でつつくと、コンコンッとガラス玉独特の音が返ってくる。
『…おとうさん、これかたいよ？なんで？』
「！…凄いじゃないかA！
数日前は触れただけで割れてたのに……、
あの時に割ったからか？
……もしかしたらAのバリアはお父さんと違って、割れば割れる程 強く硬くなるのかもな」
強くなったという単語を聞いて、嬉しさが込み上げてくる。
やった！これでお父さんに1歩近付けた！
父の言葉が嬉しくて、言葉で表せない分ピョンピョンと身体で喜んだ。
『…もっと"れんしゅう"したら、
わたしもおとうさんみたいに つよくなれる？』
「はははっ、Aなら慣れるさ！
なんったって、俺の娘だからな！！」
父に高い高いされた後、
先程と同じように大中のバリアも造る。
それを見て「問題ないな」と呟いた父は、
次は"威圧"の個性を使って缶を3つ潰してみようと言ってきた。
『……つかってもいいの？』
正直その時は驚いた。
今までは使ってはいけないよ、と念を押されていたからだ。
今になってなんで使ってもいいよなんて言われたか分からなくて父を見る。
「…ヒーローになりたいなら、
今から"個性"も身体も基礎を造っておかなくちゃいけないからね。
小さい頃からの積み重ねが大切だよ。」
頭を撫でながら、父はそう言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すばる(プロフ) - 遥燈さん» コメントありがとうございます！！！わたくしも、かっちゃんが尊いです笑 近々更新しますので、もうしばらくお待ちください！！ (2017年6月18日 21時) (
レス) id: d8ed81e829 (このIDを非表示/違反報告)
遥燈(プロフ) - この話大好きです！かっちゃん愛おしいよおおおおお！！…失礼しました笑更新楽しみにしてます。 (2017年6月18日 14時) (レス) id: af6572da72 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すばる | 作成日時：2017年1月10日 17時
