6話 〜入社〜 ページ8
・
「Aちゃん、武装探偵社に入る気は無いかい?」
私は顔を上げた。武装探偵社……?
其は太宰君の云っていた通り人扶けが出来るのだろうか。
静寂の中、口を開く。
『太宰君……人扶け、出来る……?』
私の言葉に太宰君は少し目を見開くと、微笑んで云った。
「ああ……勿論さ」
そっか……太宰君が見付けた人扶けは此なんだ……!
『やりたい!』
私がそう云うと、眼鏡さんが太宰君へ向かって云う。
「だが然し……太宰の話だと今は異能力が使えないのだろう?」
「んー……其処が難点な訳だが…確かAちゃん体術得意じゃなかった?」
不敵に笑った太宰君。少し驚く2人。
まあ嘘でもないので取り敢えず頷いておく。
「体術はマフィア持込み、異能力復活の見込み有り。
然して何よりも人扶けがしたい。
放っておくのはさぞ勿体無い。……ですよね?社長?」
その場に居る全員が、太宰君の見た方向を見る。
すると其処に居たのは和装の男性。
この方が社長さんなのか……。
社長さんは此方にぐっと近付いて私を見る。
その瞳は威厳に満ち溢れていて、じっと見つめられると少しばかり怖い。
暫く見つめられ、急に場の空気が緩いだ。
すると、社長さんは太宰君の方を見て云った。
「太宰……」
「はい……」
「お前に一任する」
其だけ云うと、社長さんは出て行ってしまった。
私はどうすれば良いのか悩んでいると、太宰君が云った。
「良いって!」
その一言にホッと一息をつく。
「良かったね、A」
と与謝野先生が微笑みながら云ってくれる。
眼鏡さんも先程より表情が柔らかくなり、
「今日はゆっくり休め」
と云ってくれた。
柔らかい職場だ……。
……武装探偵社に来れて良かった…………。
・
60人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なの。 | 作成日時:2017年3月31日 19時