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*触れた手−Ren* ページ3

知らん匂いがする。

なんや不快。やけど目開くのもだるい。眠い。


「…どい……よね…。こんな……好き……に…」


声も聞こえる。誰の声や分からんしどうでもいい。


俺はAに来てほしいって言ったんやけど。


唇に何かが触れた。温もりのあるなにか。
なんや?

今度は柔らかいのが触れる。知らん匂いが広がる。
ただただ不快。

夢の中のはずなのに、景色は真っ暗で感覚だけが伝わるのも忌々しい。起きたい。


と、思ってたら、
いきなり知ってる匂いがした。
よく知ってる匂い。
知りすぎてるくらいに、知ってる匂い。


目を開けるとやっぱり。


「A…?」

「…廉……こんなところで寝たらダメでしょ?」


俺の唇をタオルで拭きながら呆れたように笑うAがいた。


「こんなところ?」


言われて気づく。背中痛い。
段差の角にもたれていた。

背後に積み上がる段ボールの山。
俺はなんでこんなところで寝てたんや…。

冷静になってくると今度は頭が痛くなってきた。
頭の中をトンカチで定期的に叩かれてるような痛み。
しんどすぎ。


「ってー。アホや。飲みすぎた」

「酔い冷めてきた?」

「おん。少し寝たら冷めてきたわ。A、いつからそばにおったん?」

「……少し前だよ。あんまり気持ちよさそうに寝てるから起こさなくて様子見てた」

「すぐ起こしてくれても良かったのに。
彼氏がこんなゴミ置き場で寝てるとか嫌やろ」

「生ゴミじゃないからいいかなって」

「そういう問題なん?」


Aの基準がよーわからん。
まぁAらしいけど。


「ってかなんでおるん?」

「西畑くんにヘルプされた。廉が潰れて私の名前を連呼してるって」

「うわー。あいつー」

「あいつーじゃないでしょ。こんなになるまで飲むなんて。お店来たらいないし。みんなで探したんだよ」

「…ごめん。ごめんなさい」

「みんなにも謝ろうね。エリちゃんにも」

「エリ!?きとんの?」

「来てるよ。今日お泊まりする予定だったもん」

「うわー。激おこやろ?」

「うん」

「やらかしたわ…」

「戻ろっか」


Aはニコッと笑うと立ちあがろうとしたから、腕を取り引き寄せた。


「廉…?」


顔にAの髪が触れ、知っている匂いに包まれた。

安心する。


暗闇で鼻を掠めた不快な知らん匂いを忘れたい。
それだけの理由で抱きしめたなんて言いたくなくて、
困惑してるAを置き去りにして、
ただ、抱きしめた。

*知らぬふり*→←明けない夜ーsho



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設定タグ:平野紫耀 , 永瀬廉 ,   
作品ジャンル:恋愛
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ミナ(プロフ) - お話し続き…嬉し過ぎます😭切ないのに綺麗で、でも芯が火照る感覚で何度も何度も読み返してます (11月24日 20時) (レス) id: c240bfb0a0 (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - 私も2人の今後が気になって…楽しみです (10月31日 23時) (レス) id: a9338f0b1f (このIDを非表示/違反報告)
かな - 続きがとても楽しみです! (10月25日 22時) (レス) @page2 id: 7200219c9a (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - ずっと待ってました!更新嬉しい 名前呼ばれたい紫耀くんが愛しすぎる (8月18日 22時) (レス) @page1 id: cef13f8b70 (このIDを非表示/違反報告)
yit高梨アヤメ@新垢(プロフ) - 失礼します、オリ.フラ立っちゃってますよ〜💦 (8月16日 9時) (レス) id: 945705f77e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピナパル | 作成日時:2023年8月15日 19時

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