変わる季節ーsho ページ10
木枯らしが音を立てて吹き荒ぶようになった１２月。
寒さを堪えて配達に回る毎日。
得意先への配達を終えて、会社に戻ると事務所へ向かう。
「おつかれさまですー。配達してきましたー」
「おつかれさまでーす」
事務所へ入ると森本さんが対応してくれた。
「これ、お願いします」
「はーい。じゃあこれどうぞ」
今日の分の配達記録を渡すと、代わりにおしるこ缶がカウンターに置かれた。
「社長からの差し入れだって。私たちももらったの」
「へー。ありがとう。あったけー」
「あったかいうちにどうぞ、だって」
森本さんはニコッと笑うと自分のデスクに戻っていった。
告白を断ってからしばらくは微妙な関係だったけど、最近は以前のような間柄に戻れてる…気がする。
こっちが一方的に思ってることだから、森本さんはもしかしたら違うのかもしれないけど。
休憩室へ入ると、もらったおしるこの缶を開けた。
甘い香りにホッとする。
おしるこ飲むの…お正月以来だ。
口に含むと、案外甘ったるかった。
でも、カロリーを欲す疲れた体には丁度いい。
舌を火傷しないようチビチビ飲んでいたら、
「おつかれー！！」
「うわっ！」
神宮寺くんが勢いよく休憩室に入ってきて、驚きのあまり持っていた缶を落としかけた。
「ごめんごめん！驚いた？」
「驚いたよーもー。あー良かったこぼれてない…」
「なにそれ？おしるこ？」
「うん。事務所で森本さんにもらった」
「へー。俺もあとでもらおー。
差し入れくれるとか森本ちゃんも仁村みたいなことすんだなー」
「そうだね。仁村さん、よく差し入れくれてたもんね」
「なー。今頃なにやってんのかねー。
うらやましーよなぁ。俺も仕事辞めてえよー」
休憩室の一角にある畳に寝転ぶと神宮寺くんは天井を見上げた。
"仁村さん"
何気なく口に出してはいるけど、そのたびに痛みが走る。その名前を聞くだけでも走る痛みに、自分の女々しさを垣間見て何度自己嫌悪したことか。
清々しいまでにはっきりと、思い切り振られた。
仁村さんは一歩も俺に歩み寄ることはなかった。
あたり前だ。
なのに俺は、、
白いシャツに浮かぶ赤いシミが目に焼き付いて離れない。
あのシミは落ちたんだろうか。
彼氏に気づかれなかっただろうか。
何度も考え込んでしまう。
けれど最終的には、
考えたって仕方ない。
俺は、彼女の人生に関係ない人間なんだから。
と自分に言い聞かせていた。
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かな - 続きが読みたいです、、 (7月24日 6時) (
レス) @page50 id: 7200219c9a (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - 更新すごく嬉しいです😭ずっと待ってました…ほんとに描写が綺麗すぎて、わたしも紫耀くんにこんなふうに思われたいです😭 (2023年5月4日 9時) (レス) id: 180ecb31f5 (このIDを非表示/違反報告)
きょん(プロフ) - 一気に読んでしまいました！惹き込まれるくらい素敵なお話です！更新楽しみにしてます！ (2023年2月19日 11時) (レス) id: 4cb7560b67 (このIDを非表示/違反報告)
小松ミナ(プロフ) - 宝物みたいに好きなお話です。更新ほんとに嬉しい（涙）ありがとうございます (2023年2月8日 14時) (レス) @page44 id: f4f49d3608 (このIDを非表示/違反報告)
小松ミナ(プロフ) - 更新すごく嬉しいです（涙）ずっと待ってたので（涙）ありがとうございます (2023年1月29日 9時) (レス) id: f4f49d3608 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2021年6月17日 11時
