白日の元に ページ48
カーテンの向こう側が白んでいる。
一睡もできないまま、朝を迎えた。
起き上がり、ベッドから出ようとすると、
伸びてきた腕に抱きすくめられた。
「帰らなきゃ…」
「…まだいて…」
触れた肌越しに伝わる体温が理性を揺らす。
首筋に触れていく柔らかな唇。
「ダメ…」
「嫌だ」
子供みたいに言って、
紫耀くんは私を離さない。
昨日の夜だったら、熱に浮かされたまま紫耀くんに身を任せていたかもしれない。
けど…
「私…どうかしてた。
…こんなこと…許されない…」
溶けてしまいそうなほど熱を分け合い
果てた後で訪れたのは高揚感でも爽快感でもなく、、
全身の震え。
「紫耀くんは悪くないの。
私が悪い。私が間違ってた」
身体を硬くし、自分の腕を握りしめた。
温もりに包まれているはずなのに、震えが止まらない。
「もう会わない」
「…A…」
「忘れてください…私の存在ごと…」
言葉と涙が溢れ出た心に残るのは、
へばりついて剥がれない罪悪感。
絡みついていた腕を解いて、服を着ると、
紫耀くんの顔も見ないで
部屋を飛び出した。
＊
朝日に照らされる一面の銀世界。
昨日とはまったく違う景色。
私の心も。
もう、昨日までの私じゃない。
廉だけを純粋に愛していた私はもういない。
知ってしまった。
廉以外の肌を。
溶け合う熱を。
でも、私は帰る。
廉の婚約者だから。
雲ひとつない青空の下。
乱反射する光の中を走り抜ける罪人がひとり。
お前は決して逃げられないと、
真白に輝く光がこの世界に私の罪を晒していた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かな - 続きが読みたいです、、 (7月24日 6時) (
レス) @page50 id: 7200219c9a (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - 更新すごく嬉しいです😭ずっと待ってました…ほんとに描写が綺麗すぎて、わたしも紫耀くんにこんなふうに思われたいです😭 (2023年5月4日 9時) (レス) id: 180ecb31f5 (このIDを非表示/違反報告)
きょん(プロフ) - 一気に読んでしまいました！惹き込まれるくらい素敵なお話です！更新楽しみにしてます！ (2023年2月19日 11時) (レス) id: 4cb7560b67 (このIDを非表示/違反報告)
小松ミナ(プロフ) - 宝物みたいに好きなお話です。更新ほんとに嬉しい（涙）ありがとうございます (2023年2月8日 14時) (レス) @page44 id: f4f49d3608 (このIDを非表示/違反報告)
小松ミナ(プロフ) - 更新すごく嬉しいです（涙）ずっと待ってたので（涙）ありがとうございます (2023年1月29日 9時) (レス) id: f4f49d3608 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ピナパル
| 作成日時：2021年6月17日 11時
