冷えた身体 ページ39
なに…してるんだろ。
本当だったら…今頃クリスマスディナーを楽しんでるはずだったのに。
初めてきた男の人の家で着替えてる。
しかも、家出の原因となった人の…。
「濡れてる服着たままだと風邪ひくから。嫌かもしれないけど俺の服着て！俺は外にいるから！着替え終わったら鍵開けてね。慌てなくて大丈夫だから！」
紫耀くんは部屋に入るなり、
私に服を押し付けると捲し立てるようにそう言って部屋を出て行ってしまった。
反論する余地すらなく。
反論する気力もなく。
言われた通り、脱衣所で着替えてる。
脱いだ服は想像以上に冷たく濡れていた。
紫耀くんが心配するのも無理はない。
あの寒さの中であのまま公園にいたらどうなっていたことか…。
鏡の中に下着姿になった自分が映り込む。
「…廉……」
ひどい顔をした女が鏡の中で口を動かした。
メイクもすっかり落ちてしまって、
せっかくセットした髪の毛もボサボサ。
お化けみたい。
ゴムを取って髪の毛を指で梳き、編み込みを解いた。
締め付け感が消え、頭皮が緩むと気が緩んだのか涙が勝手に頬を伝い落ちた。
罪が、重ねられていく。
鎖骨にうっすらと残る赤い痕。
もうなんともないはずなのに、
触れてみるとチクチクと痛みが走った。
＊ ＊ ＊
着替え終わり玄関ドアを開けると、雪が降る中
紫耀くんが待っていた。
「あの…ありがとう…寒かったよね…」
「俺は別に！ってか服ぶかぶかで着にくそうだね、ごめん」
中へ入るなり、私の姿を見て紫耀くんはバツの悪そうな顔で謝った。
「そんな、全然…」
「仁村さんの方こそ寒くない？大丈夫？」
「…うん。
…服、乾くまでいさせてもらう…でいいかな？」
「もちろん！」
わからなくなってた。
今すぐにでもここを飛び出して廉のところへ帰るべきなのに。
着替えて、部屋に上がって。
こんなことになってるのは紫耀くんが原因なのに。
肩が濡れているのも構わず、屈託なく笑う紫耀くんをどうしても責める気になれなかった。
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かな - 続きが読みたいです、、 (7月24日 6時) (
レス) @page50 id: 7200219c9a (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - 更新すごく嬉しいです😭ずっと待ってました…ほんとに描写が綺麗すぎて、わたしも紫耀くんにこんなふうに思われたいです😭 (2023年5月4日 9時) (レス) id: 180ecb31f5 (このIDを非表示/違反報告)
きょん(プロフ) - 一気に読んでしまいました！惹き込まれるくらい素敵なお話です！更新楽しみにしてます！ (2023年2月19日 11時) (レス) id: 4cb7560b67 (このIDを非表示/違反報告)
小松ミナ(プロフ) - 宝物みたいに好きなお話です。更新ほんとに嬉しい（涙）ありがとうございます (2023年2月8日 14時) (レス) @page44 id: f4f49d3608 (このIDを非表示/違反報告)
小松ミナ(プロフ) - 更新すごく嬉しいです（涙）ずっと待ってたので（涙）ありがとうございます (2023年1月29日 9時) (レス) id: f4f49d3608 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2021年6月17日 11時
