日常 ページ20
「れーん！起きて！朝！」
「うーーー」
いつも通りの朝。
「朝だってば！遅刻するよ！」
「あと10分…」
「それ３回目！」
「寒いんやって…もう少しだけ寝させて…」
「そうやって返事できるんだからもう起きちゃってるよ！諦めて起きて！おーはーよ！」
布団を引き剥がすと廉は観念したように身体を起こした。
仕事を辞めたのに私の方が先に起きて廉を起こす習慣は変わらない。
むしろ節約の為にお弁当を作ることにしたからより早く起きてる。
「今日は遅くなる？」
「分からん。仕事次第。なんで？」
「ご飯、遅くなるなら軽いものの方がいいかなと思って。揚げ物みたいな重いものだと次の日胃もたれしたゃうといけないし」
「なんや、Aめっちゃ俺の身体気遣ってくれるやん。仕事しとる時は放置やったのに」
「そりゃあ主婦ですから」
胸を張ってみせると廉が鼻で笑った。
「なんで笑うのよー！」
「Aが主婦とか面白いなーと思って」
「なんでやねん！」
私のエセツッコミをよそに廉はご飯を食べ終えると着替えに立ち上がった。
私はのんびりな朝ごはん。
働いている時は化粧したり着替えたりで朝ゆっくりテレビを見てる時間がなかったから、
ありきたりなどうでもいい特集でもつい見入ってしまう。
無駄を謳歌できるって贅沢だ。
「なぁーネクタイ曲がってない？」
食べ終えた皿も片付けずテレビを見ていたら
スーツ姿の廉が部屋から出てきた。
「曲がってなーい！」
「んー」
コートを着てマフラーを着る廉。
何年前かにプレゼントしたマフラー。
マフラーがほつれて毛糸が飛び出ていた。
「マフラーが…」
「ん？あぁ、だいぶ使ってるからな。別にこれくらいいいやろ。じゃ、行ってきます」
「いってらっしゃい！」
革靴を履いて玄関を開けて出ていこうとしたところで廉が立ち止まり振り返った。
「ん？忘れもの？」
「いや、、毎日見送ってもらうのなんかええな」
口元に手を添えてはにかむと廉は出かけていった。
玄関先にひとり残された私。
「また不意打ちで女子心を突いて…！もう！
…ふふっ…」
口に出してしまった独り言に自分で笑ってしまった。
もうすぐ結婚するのに、何言ってるんだろ。
…でも、こんな感情になるのも仕事を辞めたおかげ。
ひとつひとつの気づきを宝物にして、記憶しておこう。
古い記憶が消えてしまうくらい、新しい記憶で埋め尽くしてしまうの。
そしたら…思い出すこともなくなる。
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かな - 続きが読みたいです、、 (7月24日 6時) (
レス) @page50 id: 7200219c9a (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - 更新すごく嬉しいです😭ずっと待ってました…ほんとに描写が綺麗すぎて、わたしも紫耀くんにこんなふうに思われたいです😭 (2023年5月4日 9時) (レス) id: 180ecb31f5 (このIDを非表示/違反報告)
きょん(プロフ) - 一気に読んでしまいました！惹き込まれるくらい素敵なお話です！更新楽しみにしてます！ (2023年2月19日 11時) (レス) id: 4cb7560b67 (このIDを非表示/違反報告)
小松ミナ(プロフ) - 宝物みたいに好きなお話です。更新ほんとに嬉しい（涙）ありがとうございます (2023年2月8日 14時) (レス) @page44 id: f4f49d3608 (このIDを非表示/違反報告)
小松ミナ(プロフ) - 更新すごく嬉しいです（涙）ずっと待ってたので（涙）ありがとうございます (2023年1月29日 9時) (レス) id: f4f49d3608 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2021年6月17日 11時
