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誘惑ーsho ページ16

店を出たのは日付が変わってからだった。


寝落ちしてしまった神宮寺くんに何度も声をかけたけど起きなくて、


「まだ片付けがあるから、終わったら起こすよ。
男なんだから一人で帰れるでしょ」


櫻井さんの言葉に甘えて、森本さんと2人で店を出た。

繁華街の中にある櫻井さんのお店の周りはまだまだ賑わっていて、まだまだ静かになりそうにない。


「森本さん、終電大丈夫?」

「…今、出ちゃったみたい…」

「マジか…じゃあタクシー拾おうか」

「うん…でもごめん、ちょっと…」
 

森本さんは道端にあったベンチにもたれかかるようちして座り込んでしまった。

やっぱり、強いとはいえ飲みすぎてる。

近くにあった自販機でペットボトルの水を買って渡すと、森本さんは一気飲みした。


「飲みすぎたんじゃない?」

「うーん、だって、お酒美味しかったんだもん」

「わかるけどさ、明日キツイかもよ?
とりあえずタクシー拾ってくるよ」


少し先にある大通りへ行こうとした。
けど、

「行かないで」

手を掴まれ引き止められた。

振り返ってみると、
俺の手を掴んだ森本さんと目が合う。

とろんとした目つき。
水に濡れた唇を赤い舌先で拭う仕草。


「ねぇ、平野くん。今日このあと暇?どこか行かない?」

握られた手首をなぞる親指から、全身に小刻みな波が立ち、背筋が震えた。


「どこか…って」


深夜の繁華街に、男女がふたり。

ここから行き着く先なんて簡単に想像できる。

本気で…誘ってるのか?
いや、本気じゃないかもしれない。

酔った視界に映るネオンの光は理性を揺さぶる。



誘われたから、魔が刺したから、
と男の狡さを発揮して、
このまま靡いてしまうのもアリかもしれない。

ずっと好意を寄せてくれている相手。

可愛いし、性格もスタイルも悪くない。


最後にしたのは随分と前だ。
旅に出る前に付き合っていた彼女。
旅に出てしばらくしてから、もう待てないと振られた。

旅先では何度も誘われたけど、結局できなかった。
酒の力を借りても、理性を捨てることができなかったから。

…今と同じように。


「酔いすぎだよ。帰った方がいい」



手首を掴まれたまま答えると、森本さんは目を見開き首を振った。


「帰りたくない。一緒にいたい」

「子供みたいなこと言わないの」

「…なんで?」



大きな瞳が俺を凝視していた。





「なんで私じゃダメなの?そんなに忘れられない?
仁村さんのこと」

★→←忘れたくないことーsho



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設定タグ:平野紫耀 , 永瀬廉 ,   
作品ジャンル:恋愛
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かな - 続きが読みたいです、、 (7月24日 6時) (レス) @page50 id: 7200219c9a (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - 更新すごく嬉しいです😭ずっと待ってました…ほんとに描写が綺麗すぎて、わたしも紫耀くんにこんなふうに思われたいです😭 (2023年5月4日 9時) (レス) id: 180ecb31f5 (このIDを非表示/違反報告)
きょん(プロフ) - 一気に読んでしまいました!惹き込まれるくらい素敵なお話です!更新楽しみにしてます! (2023年2月19日 11時) (レス) id: 4cb7560b67 (このIDを非表示/違反報告)
小松ミナ(プロフ) - 宝物みたいに好きなお話です。更新ほんとに嬉しい(涙)ありがとうございます (2023年2月8日 14時) (レス) @page44 id: f4f49d3608 (このIDを非表示/違反報告)
小松ミナ(プロフ) - 更新すごく嬉しいです(涙)ずっと待ってたので(涙)ありがとうございます (2023年1月29日 9時) (レス) id: f4f49d3608 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピナパル | 作成日時:2021年6月17日 11時

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