罪な人 ページ10
窓の外から見える公園では子供達がはしゃぎ声をあげて走り回っていた。
無邪気で可愛い…恋に悩む日が来ることなんて想像もしてなかった頃が私にも、森本さんにもあった。
「平野くん、変わらないんです。
告白する前とおんなじ態度で話しかけてくれて、笑いかけてくれる。それが辛くて…
少しくらい態度変えてくれたらいいのに、そしたら諦めつくのに…
平野くんの態度ひとつひとつに、やっぱりこういうところ好きだなって思っちゃう。報われないのに…」
窓の外を眺めたまま話していた森本さんの声が急にうわずった。
「私のしてること…すごく…気持ち悪いんですけど…
ここの公園、平野くんの家から近くて…
偶然…会えたりしないかなって思って…いつもわざとこの公園通って帰る癖がついちゃって…
今日も諦めたはずなのに…気にしてる…」
話しながら、息を吐くごとに森本さんの頬を涙が流れ落ちていく。
「気持ち悪くなんかないよ…。恋…すれば、好きな人に会いたいって思うの、当たり前の気持ちだと思うから…森本さんの気持ち、分かるよ…」
痛いくらい、分かる。
私だって、大学で廉と少しでもたくさん学内で会いたくていつも目で探してた。
それで、会えると嬉しくて…
いてもたってもいられなくなり、森本さんの隣の席に移動すると手を握り、
空いている手で頭を撫でた。
良い匂いがする。髪の毛もツルツルで。毛穴も分からないほどスベスベな肌。爪先まで手入れされた手。
可愛いだけじゃなくて、きっと努力もしてる。
「無理…しないで、話せないなら話さなくていいんじゃないかな…。
森本さんの中で区切りがつくまで」
「…はい」
森本さんは森本さんらしく、紫耀くんは紫耀くんらしくいるだけ。
ただ、想いが噛み合わなかっただけで、どっちも悪くないけど、辛いのはいつだって想いが大きい方。
人は、期待をしてしまう生き物だから、
救いを求めてしまう生き物だから、
そんな感情を捨て去れない自分に気付いてしまう生き物だから。
…勘違いしかけてた自分が恥ずかしい。
これまでに見てきた態度は紫耀くんの性格ゆえのものだっただけなのに。
知らず知らずのうちに思わせぶりな態度をとってしまう人っているよなぁ。
いわゆる罪な人、ってやつ。
紫耀くんはきっと、罪な人なんだ。
私も惑わされるところだった。
情けない。
私は私らしく、
自分を律する努力をしなきゃ。
でないと、紫耀くんにだって迷惑だ。
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こころ(プロフ) - 切なすぎて読むのが辛かなってきました…でも希望を捨てずに読みたいと思います(^ ^) (2021年5月28日 17時) (
レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 更新嬉しいです！この先も楽しみにしています。紫耀くんの恋心が報われますように。 (2021年5月16日 3時) (レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
そらぃ(プロフ) - ピナパルさん» 本当ですか！？なら良かったです^ ^話はそれますがこのお話大好きです！！めちゃくちゃいい話できゅんきゅんします！！お互いに更新頑張りましょ！！ (2021年3月14日 8時) (レス) id: 65c9099209 (このIDを非表示/違反報告)
ピナパル(プロフ) - そらぃさん» はじめまして。まったく気にしていないので謝っていただく必要ありませんよ！むしろわざわざ教えていただいてこちらこそ申し訳ありません>_<どうか気になさらず更新頑張ってください！(明るく言える立場じゃないのですが…) (2021年3月13日 16時) (レス) id: 9e85fabcef (このIDを非表示/違反報告)
そらぃ(プロフ) - 本当に申し訳ございません（涙）小説を私書いてるのですが、そのタイトルが桜が舞う季節になんですけどピナパルさんのこの小説とタイトルが似てしまっていて、、大変申し訳ないです…気付きませんでした。。差し支えがなければこのままにしますが…よろしいですか？ (2021年3月13日 13時) (レス) id: 65c9099209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2019年12月29日 8時
