仕事 ページ39
うちの会社では、個人情報の含まれていない裏紙をメモ帳に作り替えるという地味に面倒な事務仕事がある。
今回は私の当番で、自分のデスクに
数十枚の紙束を裁断機に置き、一気に押し切ると半分の面積となった紙束が机にストンと落ちた。
「おぉーー」
裁断機に残る紙束の艶やかな断面にひとり静かに歓声をあげていると、隣のデスクでパソコンで事務処理をしていた森本さんが手を止めてクスッと笑った。
「もしや今の聞こえてた？」
「はい…ふふっ。仁村さん可愛いなーと思って」
「可愛い？？どこが？」
「そーいうところですよ」
森本さんはふわりと微笑むと、パソコン入力を再開した。
いやいやいや、ただのパソコン入力すら会社の広報写真に使えてしまいそうなくらい絵になる森本さんの方がよっぽど可愛いよ。
と言おうとしたら、
「本当に仁村ちゃんは素直だものねぇー」
「そうねぇー。ひねくれたところがないというか、なんというかねぇ」
まさかのおばさま方による援護射撃。
「あのイケメンの婚約者が手放したくない気持ち、わかるわー。私も仁村ちゃんみたいな子がお嫁さんに来てくれたら嬉しいもの。
だってうちの息子の嫁ったらね……」
と思ったらすぐに別の話題に切り替わった。
けど、一瞬でも褒められて嬉しい。
切り終わった紙束の側面を糊で塗っていると、
「仁村ー！」
神宮寺くんが息を切らし事務所に飛び込んできた。
「どーしたの？」
「どーしたもこーしたもねーよ！
客怒らせた！ごめん！」
「は！？何したの！？」
「持ってった荷物の箱が汚れてたって言われてさぁ！確認して謝ったのに態度が気に食わないって！
ひどくない！？」
泣きそうな神宮寺くんの様子に、
すぐ今日の取引先を確認してみると、
以前から細かいことに注文をつけてくるめんどくさい相手だった。
「ここの人いつもクレームつけてくるんだよー。
待ってきてもらって文句言うなら自分で運べばいいのにねー。
神宮寺くんはちゃんと謝ったんでしょ？」
「おう。45度に体曲げて頭下げたぜ？」
「オッケー。あとはなんとかしとくから任せて！
気にしないで午後も頑張れ！」
「悪いな！ありがと！」
元気を取り戻した神宮寺くんが事務室を出ていくと、相手先にすぐに電話を掛けた。
荷物に関するトラブル対応も事務員の仕事。
謝るのは慣れっこ。
…仕事している間だけは、取り憑いたように消えてくれない感触から解放されていた。
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こころ(プロフ) - 切なすぎて読むのが辛かなってきました…でも希望を捨てずに読みたいと思います(^ ^) (2021年5月28日 17時) (
レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 更新嬉しいです！この先も楽しみにしています。紫耀くんの恋心が報われますように。 (2021年5月16日 3時) (レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
そらぃ(プロフ) - ピナパルさん» 本当ですか！？なら良かったです^ ^話はそれますがこのお話大好きです！！めちゃくちゃいい話できゅんきゅんします！！お互いに更新頑張りましょ！！ (2021年3月14日 8時) (レス) id: 65c9099209 (このIDを非表示/違反報告)
ピナパル(プロフ) - そらぃさん» はじめまして。まったく気にしていないので謝っていただく必要ありませんよ！むしろわざわざ教えていただいてこちらこそ申し訳ありません>_<どうか気になさらず更新頑張ってください！(明るく言える立場じゃないのですが…) (2021年3月13日 16時) (レス) id: 9e85fabcef (このIDを非表示/違反報告)
そらぃ(プロフ) - 本当に申し訳ございません（涙）小説を私書いてるのですが、そのタイトルが桜が舞う季節になんですけどピナパルさんのこの小説とタイトルが似てしまっていて、、大変申し訳ないです…気付きませんでした。。差し支えがなければこのままにしますが…よろしいですか？ (2021年3月13日 13時) (レス) id: 65c9099209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2019年12月29日 8時
