波風ーsho ページ17
解散した頃にはもう、夕日が海に沈みかけていた。
車に乗ってきた人たちと電車で帰る人たちで方向が分かれる。
車で来たから、
神宮寺くんを送るついでに仁村さんも送っていこうかと誘ってみたけど、彼と駅前の居酒屋で待ち合わせてるからと断られてしまった。
嬉しそうな笑顔に針で突かれたような痛みが走る。
わかりきってることなのに、
頭の理解に心が追いついてないらしい。
一緒にいられた楽しい１日だったから余計に。
喉が渇いたとジュースを買いに行った神宮寺くんを待つために、車にもたれてスマホをテキトーにいじっていたら、
「えー！いるー！」
キーの高い大声をすぐ近くで出されて、びっくりしすぎて飛び上がりそうになった。
スマホに向けていた目線を声のした方は向けると、さきほど神宮寺くんを通して俺に声をかけてきたハイスペック女子集団が俺を見ていた。
水着と同じくやたらと露出度の高い服に着替えてる。
「びっくりしすぎなんだけどー！」
「バレーしてるときと全然ちがーう！」
俺を目の前にして騒いでる女子たち。
やっぱり怖い。
無視を決め込もう、としたのに、
「平野お待たせー！あれっ！？」
戻ってきた神宮寺くんが女子集団に声をかけてしまった。
「帰るとこー？」
「そーだよー！ジン君たちも？」
「そうそう！また会えるなんてすげー偶然！」
神宮寺くん、初対面なはずなのに前から友達だったかのように打ち解けてる。なんという社交力…。
俺は見た目からして無理なのに…。
神宮寺くんと話してるリーダー格っぽい女子の後ろで、残りの３人が俺をみながら何やらヒソヒソ話していた。
嫌な予感がする。
関わり合いになりたくないから、話してる神宮寺くんを尻目に運転席側へ回り車に乗り込もうとした時、
「ねぇねぇ！このあとなんか予定とかあるー？」
３人に耳打ちされたリーダー格が俺と神宮寺くんを交互に見ながら言ってきた。
「いや！特にないけど？」
即座に反応する神宮寺くん。声がウキウキしてる。
「じゃあさーこれから遊ばない！？
カラオケ行こうと思ってたんだー！」
「マジ！？いいの？」
「いーよー！行こうー！」
車体を挟んだ向こう側で勝手に盛り上がってるけど、俺は行くなんて言ってない。思ってもない。
「神宮寺くん行くの？
じゃあ俺は先に帰るねー」
さっさと車に乗り込むと、神宮寺くんが凄い勢いで助手席のドアを開けて俺をガン見してきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 774人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こころ(プロフ) - 切なすぎて読むのが辛かなってきました…でも希望を捨てずに読みたいと思います(^ ^) (2021年5月28日 17時) (
レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 更新嬉しいです！この先も楽しみにしています。紫耀くんの恋心が報われますように。 (2021年5月16日 3時) (レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
そらぃ(プロフ) - ピナパルさん» 本当ですか！？なら良かったです^ ^話はそれますがこのお話大好きです！！めちゃくちゃいい話できゅんきゅんします！！お互いに更新頑張りましょ！！ (2021年3月14日 8時) (レス) id: 65c9099209 (このIDを非表示/違反報告)
ピナパル(プロフ) - そらぃさん» はじめまして。まったく気にしていないので謝っていただく必要ありませんよ！むしろわざわざ教えていただいてこちらこそ申し訳ありません>_<どうか気になさらず更新頑張ってください！(明るく言える立場じゃないのですが…) (2021年3月13日 16時) (レス) id: 9e85fabcef (このIDを非表示/違反報告)
そらぃ(プロフ) - 本当に申し訳ございません（涙）小説を私書いてるのですが、そのタイトルが桜が舞う季節になんですけどピナパルさんのこの小説とタイトルが似てしまっていて、、大変申し訳ないです…気付きませんでした。。差し支えがなければこのままにしますが…よろしいですか？ (2021年3月13日 13時) (レス) id: 65c9099209 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ピナパル
| 作成日時：2019年12月29日 8時
