夏の終わり５ ページ16
普段のフワフワ笑顔、ビーチバレーの時の真剣な顔、ハイスペック女子に怯えていた顔、お母さんを思い出してる横顔。
紫耀くんには、あとどれだけの顔が隠されてるんだろう。
気を抜くと、つい見入ってしまう。
ただ、そこにいるだけでその場にいる人の心どころか空気まで自分色に染めてしまう。
万華鏡のように代わる表情のひとつひとつから目が離せなくなってしまって、もっと知りたいと相手に思わせる魔力のようなものを紫耀くんは持ってる。
「素敵なお母さんだね」
「…ありがとう」
「私もお母さんになれたら、紫耀くんのお母さんみたいな人になりたいな。
そう、遠くない話だと思うけど」
「そう…なの？」
「…私も彼も早く子供が欲しいから。
ほら、親が若い方が子供とたくさん遊べそうだし」
今度は私が海を眺めた。
家族連れだろうか。子供たちが砂浜に寝転ぶお父さんを土に埋めている姿をお母さんが爆笑しながらスマホで撮っている。
廉と結婚することを決めてから憧れ続けてる光景。
順番を守って結婚しような、と言ったのは廉の方だったのに、
私の両親へ挨拶に行って以来、廉は避妊をしなくなった。
中で果てたあと、廉は毎回痛いくらい私を抱きしめる。
安心したように、息を吐いて。
今も、ラッシュガードとレギンスで覆わないといけないほど、身体の至る所に廉から愛された痕が残ってる。
親に挨拶までして、すべてが軌道に乗っているのに廉の不安が消えないのは、私のせいだ。
紫耀くんみたいな人に、これまでに出会ったことがなかった。
小中高と地元の学校に通い、大学は電車で通える範囲内、会社も徒歩通勤という
限られた世界でしか生きてこなかった私にとって、
紫耀くんという人そのものが別世界で、
話すだけで新しい世界を知ることができる気がした。
だから、興味を惹かれてしまった。
廉の前でも、紫耀くんへの好奇心を隠しきれてなかった。
でも、
紫耀くんと私はただの仲の良い心許せる同僚。
ただ、それだけの関係で私たちはこの場所にいる。
紫耀くんの発する一言も、視線も、ただの同僚に向けた何の意味もないものであって、いちいち意識する必要なんてない。
今こうして過ごしている時間も、長い人生の中にあるカケラにも満たない一瞬。
紫耀くんの人生において、
私はエキストラに過ぎない。
そう考えた途端、これまでいちいち意識して悩んでた自分がバカらしくなって、気持ちが楽になった気がした。
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こころ(プロフ) - 切なすぎて読むのが辛かなってきました…でも希望を捨てずに読みたいと思います(^ ^) (2021年5月28日 17時) (
レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 更新嬉しいです！この先も楽しみにしています。紫耀くんの恋心が報われますように。 (2021年5月16日 3時) (レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
そらぃ(プロフ) - ピナパルさん» 本当ですか！？なら良かったです^ ^話はそれますがこのお話大好きです！！めちゃくちゃいい話できゅんきゅんします！！お互いに更新頑張りましょ！！ (2021年3月14日 8時) (レス) id: 65c9099209 (このIDを非表示/違反報告)
ピナパル(プロフ) - そらぃさん» はじめまして。まったく気にしていないので謝っていただく必要ありませんよ！むしろわざわざ教えていただいてこちらこそ申し訳ありません>_<どうか気になさらず更新頑張ってください！(明るく言える立場じゃないのですが…) (2021年3月13日 16時) (レス) id: 9e85fabcef (このIDを非表示/違反報告)
そらぃ(プロフ) - 本当に申し訳ございません（涙）小説を私書いてるのですが、そのタイトルが桜が舞う季節になんですけどピナパルさんのこの小説とタイトルが似てしまっていて、、大変申し訳ないです…気付きませんでした。。差し支えがなければこのままにしますが…よろしいですか？ (2021年3月13日 13時) (レス) id: 65c9099209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2019年12月29日 8時
