挨拶 ページ1
８月。
酷暑と表されるほどの暑さの中、夏用とはいえスーツを着ている廉は、心なしか震えている指でインターホンを押した。
「廉、上着だけでも脱いだら？」
額に汗の玉を滲ませている廉にハンカチを差し出すと、廉はハンカチを当てながら首を振った。
「あかん。誠意が見せれん」
今日は私の両親へ結婚の挨拶。
私はたまに実家に帰るけど、廉は毎年お正月とアパートに来た時に会うくらいだから緊張してるらしい。
「誠意って。大丈夫だって。私と廉が結婚することはお父さんもお母さんも分かりきってるんだから」
「それはそうかもやけど、きちんとするとこはきちんとせな。適当に済ます奴やと思われたら嫌や」
「うーん、そういうところは真面目だねぇ」
面倒くさがりなのに、こだわるところは譲らない廉。
だったら結婚式の準備もっと手伝ってよ、と言いたくなったけれど、暑い中さらにイライラしたくもさせたくもなかったから黙っておいた。
こんな暑い日にわざわざスーツを着てくれるなんてそれだけ真剣に考えてくれてるってことだし。
「あらー！スーツ着てきたの！？こんな暑いのに！」
インターホンに返事もなくいきなり玄関のドアを開けたお母さんは、スーツ姿の廉とサマーワンピース姿の私を見比べて驚いた顔をした。
「あ、はい。ご挨拶に来たんで…」
既にタジタジになってる。さっきまでの威勢はどこへやら。
「相変わらず真面目ねぇ！ほら、上着脱いでも大丈夫だから！熱中症になっちゃうわよ？
中入って入って！
Aも素敵な格好じゃない！」
「挨拶に来たからねー」
「あら、あなたまで？どーしましょ！私もお父さんも普段通りよ？ごめんなさいねー！
おとーさーん！２人来たわよー！！」
お母さんは廉と私を促すと、中へ叫びながら先にリビングの方へ行ってしまった。
「お母さんも相変わらずやな…」
靴を脱ぎながら廉がつぶやく。
毎度のこと。お母さんは廉を気に入ってるから、会うたびにハイテンションになってしまう。
とにかく顔が好きらしい。分かる←
「今日はたぶん機嫌が良いからいつもよりパワーアップしてる。。
廉は普段通りで大丈夫だから」
「…そうさせてもらうわ…」
廉は上着を脱ぐと、セットしていた髪をかきあげた。
＊
あの日から、２人の関係に変化はない。
普段のやりとりも以前と同じ。
決して口には出さないけれど、
同じようにしようと、２人で努めていた。
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こころ(プロフ) - 切なすぎて読むのが辛かなってきました…でも希望を捨てずに読みたいと思います(^ ^) (2021年5月28日 17時) (
レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 更新嬉しいです！この先も楽しみにしています。紫耀くんの恋心が報われますように。 (2021年5月16日 3時) (レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
そらぃ(プロフ) - ピナパルさん» 本当ですか！？なら良かったです^ ^話はそれますがこのお話大好きです！！めちゃくちゃいい話できゅんきゅんします！！お互いに更新頑張りましょ！！ (2021年3月14日 8時) (レス) id: 65c9099209 (このIDを非表示/違反報告)
ピナパル(プロフ) - そらぃさん» はじめまして。まったく気にしていないので謝っていただく必要ありませんよ！むしろわざわざ教えていただいてこちらこそ申し訳ありません>_<どうか気になさらず更新頑張ってください！(明るく言える立場じゃないのですが…) (2021年3月13日 16時) (レス) id: 9e85fabcef (このIDを非表示/違反報告)
そらぃ(プロフ) - 本当に申し訳ございません（涙）小説を私書いてるのですが、そのタイトルが桜が舞う季節になんですけどピナパルさんのこの小説とタイトルが似てしまっていて、、大変申し訳ないです…気付きませんでした。。差し支えがなければこのままにしますが…よろしいですか？ (2021年3月13日 13時) (レス) id: 65c9099209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2019年12月29日 8時
