パパと呼ばれる日7 ページ10
「へー。ももかのパパなんだー。
初めて見た」
「いつもお仕事いそがしくておうちにいないのー」
「なんのお仕事してるの?」
「テレビに出てるんだよ!」
「えっ?ほんとに?」
「ほんどだよねー?しょうくん!たくさんテレビ出てるよね!
……しょうくん?」
返事ができなかった。
あまりにも突然、心の準備がまったくできていない状況で、
初めて呼ばれたパパという言葉にフリーズしてしまっていた。
そして我に帰った時には涙と鼻水が勝手にダダ漏れていた。
「………ごめっ…!ごめん…ね…俺……」
拭いても拭いても涙は止まらなくて。
「ももかのパパ、どうして泣いてるの?」
「わかんないー!
なんで泣いてるのー?」
保育園児の方が冷静に話しかけてくる状況になってる…。
とりあえず気持ちを落ち着かせないといけないのに、
落ち着けない。
「ごめんね…
あの、パパって言われたから、、
びっくりして、その嬉しくて…」
だって本当は、
「へんなの。パパがパパって呼ばれて泣くなんて」
ずっとずっと願ってた。
「しょうくん、パパって呼ばれると嬉しいの?」
パパと呼ばれることを望んでた。
「…嬉しいみたい。すごく」
自分が想像していた以上に。
「ふーん。
じゃあもも、これからしょうくんのことパパって呼ぶねー!」
でもそれは、
「いいの…?」
簡単に願って良いことじゃなくて。
「だってしょうくんはもものパパなんでしょ?」
俺は、君のパパだけど、
「そうだけど…」
君がここまで育つまでに、何もしてあげられなかった。
「しょうくんはずーっともものパパだったんだよねぇ!ママが言ってたよー!」
こんなに可愛くて素直な子に育てたのはAと…。
「…そう…そうだよ…
ずっとパパだったかもしんないけど…でもなんにも…してあげれなくて…」
パパと呼ばれる資格なんてないと、心のどこかで諦めていた。
「なんにも?なんで?
たくさんしてくれるよ?」
「……っ……!!」
全然足りないよ。
もっともっともっとしてあげられることがあったはずなんだ。
仕方なかった、だなんて
開き直ることできない。
でも俺は、君の中でいつのまにかパパとして存在してたんだね。
俺、パパになれてたんだ。
「ももか…ありがとう…」
何があっても頑張れるよ。
君のためなら。
「どういたしましてー!」
俺に向かって腕を広げた
小さな身体を、
そっとぎゅっと抱きしめた。
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メープル(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (8月4日 17時) (レス) @page16 id: ca364df23b (このIDを非表示/違反報告)
おだちゃん(プロフ) - 永瀬くんのお話楽しみにしてます♡ (2023年3月13日 9時) (レス) @page15 id: ab51813c38 (このIDを非表示/違反報告)
たそ(プロフ) - 他界隈ですがたまたま見かけてオールして全部見させて頂きました。今までジャニーズとは無関係でしたが読む手が止まらないくらいの神作品です!これからも応援しています!! (2023年1月8日 8時) (レス) id: f8f3836cb6 (このIDを非表示/違反報告)
おだちゃん(プロフ) - このお話の大ファンです♡また読むことができて嬉しいです!更新ありがとうございます!! (2022年10月9日 8時) (レス) @page13 id: ab51813c38 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - ピナパルさんのお話好きです。桜の〜の方もハマっていたので、更新楽しみにしてます!! (2022年3月4日 1時) (レス) @page7 id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピナパル | 作成日時:2022年2月10日 1時