ＦｉｒｓｔＬｏｖｅ７*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･

２６歳の君。６ ページ18

これは…現実？





「紫耀くん…どうして、ここにいるの…？」





前にも同じ感覚に陥ったことがある。

５年ぶりに紫耀くんと再会した日。

あのときの紫耀くんは、睨むような目つきで私を見ていた。



けれど今日は…



「会いたくて、来ちゃった」



言いながら紫耀くんは
くっきり二重の目が線になって見えてしまうほどクシャッと笑った。



前に会った時は見れなかった、

思い出の中に封じ込めていた笑顔。



その笑顔が大好きで、心の支えだった。





「昼過ぎに着いたんだけど、家どころかAの電話番号すらわかんないの忘れてて、全然手がかりなくて、歩き回ってたらここのこと思い出した。
で、向かってたらAから電話かかってくるんだもん。びっくりしたよ」



笑顔を絶やさないままでいる紫耀くんを見つめながら、
こみ上げそうになる涙を必死で飲み込んで、感情に蓋をする。


泣く資格も、本心を明かす資格も、今の私にはない。


だって……私の中には……。









「あれ……」

「そうだよね…絶対…」



紫耀くんの後ろ側にいた道行く人が囁く声で我に返った。


いけない…こんな目立つ場所で…

もし写真でも撮られてしまったら…





「紫耀くん、場所替えたほうが…！？」





言いかけたところで、紫耀くんは私の手を強く引いて抱き寄せた。



「もう、いいよ」


耳元で囁く声。


「いいんだ…」



ぎゅうっと強くなる背中に回った紫耀くんの腕の力。

あったかくて、愛しくて、涙がまた込み上げてくる。


でも、私には抱きしめ返すことができない。


だって……





「ダメ…」


紫耀くんの胸に手を当てて、押し返した。

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