＜手紙＞ ページ2
Aへ。
A、元気にしていますか。
Aは今、何歳なのかな。
この手紙の漢字を読めるほど大きくなっているのかな。
まずはじめに、
まだ小さかったAを、突然置いていなくなってしまったこと、謝らせてください。
本当にごめんなさい。
謝っても許されることじゃないのは百も承知です。
この手紙は、
もしもいつか、Aが自分の出自に対して疑問や不安を持つことがあれば渡してほしいと、お母さんのの妹である叔母さんに頼んで送っておいたものです。
手紙を読んでいるということは、Aがどうやって生まれてきたのかを知りたい、と思っているのだと考えてお母さんは手紙を書いています。
叔母さんから聞いているかもしれないけど、
Aのお父さんは、北川優成という名前です。
お母さんよりふたつ年上でした。
お母さんは大学を卒業してから、都会の大きな商業ビルでOLをしていて、
お父さんは、両親を中学生のときに亡くしてからは施設で暮らして、高校を出てからすぐに就職。お父さんは自販機メーカーで働いていました。
２人に
全然接点がないのにどうして出会うことができたのか。
それは、忘れもしないお母さんが２５歳の冬の日のこと。
会社の自販機が突然壊れて、修理しにきてくれたのがお父さんでした。
お世辞にも綺麗とは言えない汚れだらけの作業着姿で現れたお父さんは、挨拶もそこそこに修理を始めてしまって、お母さんは社会人としてのマナーがなってない人この人…と不快感を抱いたのをよく覚えています。
でも、お父さんはとても真面目な人で、
寒い冬風が吹く中でも、暗くなる中でも脇目もふらずに自販機を修理する姿に、お母さんは最初抱いた不快感なんて消え去ってしまって、
まっすぐに仕事と向き合う横顔を頼もしく感じました。
そして、修理し終わったとき、
「よっしゃー！」
ととびきりの笑顔でガッツポーズしたお父さんにお母さんは一目惚れしてしまったのです。
単純だよね。
単純に、恋をしてしまったの。
若かったお母さんは勢いに乗ってお父さんの連絡先を自分から聞いて、毎日連絡するようになりました。
正直、鬱陶しかったはずなのに、お父さんは毎日お母さんが送るつまらないメールに返事をくれました。メールの文は「うん」「そうだね」という簡単な一言ばかりだったけれど、返事が来るたびに嬉しくてたまらなくて、お母さんは会ってもいないのにお父さんのことがどんどん好きになっていきました。
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hana(プロフ) - 更新ありがとうごさいます。また、この作品がみれてうれしいです。ありがとうございましたm(__)m (2021年4月19日 21時) (
レス) id: 128551f8b3 (このIDを非表示/違反報告)
krmnc174(プロフ) - 更新ありがとうございます。久しぶりに3人に会えて嬉しかったです。 (2021年4月19日 20時) (レス) id: 63fbc1baf5 (このIDを非表示/違反報告)
ao11miyu57(プロフ) - すてきな作品ありがとうございますm(__)m今まで色んな作品をみたけどダントツでこの作品が一位です＼(^^)／何度読んでも最高です！またすてきな作品楽しみにしてます☆たのしませてくれてありがとうございますm(__)m (2021年4月19日 20時) (レス) id: ad99cccc30 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - セナさん» このお話しがとても大好きで、何度も読み返し何度も泣きました。また番外編的な感じで幸せに過ごしている結婚後のお話しやちょっとハラハラするお話しをぜひお願いまします！またぜひお話し読みたいです (2021年4月19日 18時) (レス) id: d72864bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
おだちゃん(プロフ) - このお話とても大好きな作品なので、その後の3人に会えて嬉しいです！これからも紫耀くんのパパっぷりが読みたいです！更新ありがとうございました。 (2021年4月19日 16時) (レス) id: ab51813c38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2019年9月30日 21時
