私の幸せ１７ ページ7
怖かった。けれど、知りたかった。
「消息を調べてみたら、
…Aちゃんをうちに預けた時点で、もう手の施しようがないほど病気は進行してしまっていたそうだ…。
それで、ホスピスに…。
亡くなる少し前に手紙を出したらしい。
もう、覚悟をしていたんだろうね」
「……お母さん…」
また、手紙に涙の粒が落ちる。
自分の死を覚悟し、娘に手紙を残すだなんて、なんて残酷な運命なんだろう。
もっと一緒にいたかった。
一緒に笑い合って、たまに喧嘩して、２人で同じ日々を重ねていきたかった…。
今の私とももちゃんのように…。
「もうひとつ、これを…」
叔父さんが机の上に置いたのは、写真だった。
「麻由季さんを担当していた看護師さんが、ずっと保管してくれていたそうだ」
黄色い花畑を背に、幼い女の子を抱きしめ微笑む優しそうな女性と、
同じ女性の膨らんだお腹に手を当て破顔するほど大笑いする男性の二枚の写真。
「写真立てに飾って、ことあるごとに眺めては写真立てを撫でていたと…
亡くなるときは手に持ったまま…亡くなったと」
叔父さんは真っ赤な目をして声を詰まらせながらそういうと、私の手に写真を持たせた。
両方とも微かなシワが寄っている写真。
誰なのかは言われなくてもわかった。
「お父さんと…お母さん？」
「そうだよ」
叔父さんは写真と私を見比べながら目を細めた。
「この人たちが…私の両親…」
写真に目線を落とすと、指で幼い私をなぞる。
初めて見た。
想像の中でも顔が浮かばなかったお父さんとお母さん。
お父さん、素敵な笑顔。この笑顔にお母さんは一目惚れしたんだ…
手紙の文章通り、優しそうなお母さん。
どことなく、私は２人に似てる。
「あの子は、小さな頃のAちゃんとそっくりだね」
叔父さんに言われて初めて気付いた。
ももちゃん、
ずっと紫耀くんに似てると思ってたけど、小さな頃の私と同じ顔してる。
「本当だ。…そっくり」
思わず笑うと同時に涙が幾筋も頬を零れ落ちた。
やっと知れた。
幼い頃からずっと知りたかったこと、
全部わかった。
お父さんの笑顔、
亡くなる瞬間まで持っていてくれた私との写真、
手紙。
私は、ちゃんと愛されてた。
会えなくても、
そばにいなくても、
目には見えなくても、
こんなにも愛されて、この世界へきたんだ。
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atu66mi67yu129(プロフ) - 更新ありがとうございます。どうなるんでしょうか？もう廉くんはでてきませんか？気になります。更新頑張ってください。 (2019年9月26日 22時) (
レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしてます(^^) (2019年9月26日 13時) (レス) id: c764a58878 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです。毎回本当に楽しみにしています。心温まるシーンも泣きそうになるシーンもあって毎回心を持っていかれてしまいます。これからも更新楽しみにしています。 (2019年9月24日 23時) (レス) id: 98e7cf9d85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2019年8月29日 0時
