ＦｉｒｓｔＬｏｖｅ２*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･ (ページ46)

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２１歳の君。２３ページ46

ビルの階段を降りる途中、坂田さんとすれ違った。

「あ！電話長引いちゃってー！もう戻りますね！安永さん、どうしたんですか？」

「ゴメン、電車混むといけないから、先に帰るね、浴衣は今度返すから、ほんとにごめんね！」

「あ、わかりましたー！気をつけて！」

作り笑顔でごまかして、急いで階段を降りた。

そうしないと、こらえていたものが溢れ出てしまいそうだった。

どうやって帰ったかわからない。

気付いたら、マンションの前にいた。

スマホを見ると、紫耀くんから着信が何件も入ってる。

掛け直すと、すぐに出た紫耀くん。

「もしもし！？今どこ！？」

慌ててる声。

「帰ってきて、マンションの前だよ？どうしたの？」

「あ、いや…！そのー…浴衣姿がめちゃめちゃ可愛かったから、、心配で、、、」

不安そうな声に、さっきの永瀬くんとの出来事を思い出して、胸が苦しくなる。

「ナンパなんてされてないから大丈夫だよ」

「本当？本当に？」

「本当」

ナンパは、ね。嘘はついてないよね…。

「ならいいんだけどさー！あ！いま部屋にいるんだけど、これから来れる！？」

期待感に満ちた声。いつもだったら、二つ返事で行くんだろうけど、、

「ごめんね、今日人混みで疲れちゃって…。明日も仕事だから、やめとく」

「そっか。。分かった。ゆっくり休んでね」

「ありがとう、おやすみ」

労ってくれる優しい言葉に申し訳なくなるけれど、今日は、まともに紫耀くんの顔を見れない。

新しい映画のこと、永瀬くんとのこと。

紫耀くんへの想いを、自覚したはずなのに、

頭の中は、ぐちゃぐちゃで、

この胸の奥の揺らめきを、隠し通す自信がなかった。