ＦｉｒｓｔＬｏｖｅ２*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･ (ページ45)

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諦めーRen ページ45

「ありがとう」

いつもの微笑みを俺に向けると、

そう言って、安永さんは、階段へ続くドアの方へ歩いていった。

ビルの下から大きな歓声が上がり、花火を見ると、フィナーレを迎えたらしく、派手に打ち上がっている。

「どうだった？」

後ろから声を掛けてきたのは、坂田さん。

「見事に振られました」

「そっかぁー。じゃあ、この花火は次の恋へのエールだね」

「そうっすね」

次々と打ち上がっていく花火を眺めながら、

不思議と気分はスッキリとしていた。

「坂田さんの言ってたこと当たってました」

「ん？」

「言った方の後悔の方が楽やって。ほんまでした」

「でしょー？経験者は語る、よ」

ニンマリ笑ってる坂田さんにつられて笑ってしまう。

１年以上片思いしてた相手にふられたばっかやのに爽快感に包まれてるって、なんでやろ。

…あれだけひどいこと言ったのに、結局、本音を聞くことはできんかった。

怒らせたら、キレてほんまのこと言うんかなって想像してたんやけど、、。

って、俺、最低やな。

けど、それでも、知りたかった。

彼女の本心。

ほんの少しだけ、あの涙で垣間見えた気がしたけど、

本人もなんで泣いてるのかわからん風やった。

もしかしたら、彼女の本心は、彼女にもわからんところにあるんかもしれん。

そう感じた。

やから、ただのバイト仲間の俺なんかが触れられるわけない。

…おかしな彼氏は、少しくらいは彼女の本心に触れられてるんかな。

そしたら、、羨ましい。

けど、、、

……諦めよう。今度こそ、本当に。

かなわへんのやから。

報われることもないんやから。

そう決めて、

見上げた最後の花火は、何重にもぼやけて見えた。