２１歳の君。２０ ページ42
「幸せなんすか？」
いつもとは違う、低い声のトーン。
からかっているわけでも、ふざけているわけでもなく、本気で聞いてきてる。。
「幸せだよ。すごく」
私を見つめている永瀬くんの瞳を、直視できなくて、花火に視線を移す。
「なんで、目、逸らすんですか？」
自分でもわからない。
自信を持って、まっすぐ永瀬くんの瞳を見つめ返して言えばいいのに、
あまりにも、まっすぐなその視線は、
自分でも気づかない本心を見抜かれてしまいそうで、怖い。
「…なんで、、そんなこと聞くの？」
「安永さん、幸せそうに見えへんから」
その言葉が、胸をえぐる。
思わず、永瀬くんを見つめた。
「やって、安永さんの彼氏、おかしいやないですか。
６年も付き合ってるのに、一緒に出かけへん、花火大会も行かん、普通やないっすよ」
”普通やない”
直球すぎるその言葉に、返す言葉が浮かばない。永瀬くんはなおも言葉をぶつけてくる。
「安永さん、自分が幸せやって、言い聞かせてるんやないですか？」
心臓が、大きく鼓動した。
……今日は永瀬くんも変。
これまで、私の彼氏のことなんて、興味ない様子だったのに、、どうして今日は、そんなにはっきりと、言葉をぶつけてくるの？
私は…幸せだよ。
紫耀くんに、ずっと愛されて、必要とされて、、
だから、簡単には会えなくても、好きな時に電話できなくても、太陽の下で、寄り添って歩くことができなくても、
他の人と、キスする姿を見せられても、、
平気だよ。
平気なの。
「安永さん…なんで泣いてるんすか…？」
戸惑いが込められた、永瀬くんの声にハッとなって、頬に触れると、温かい液体に触れた。
…なんで、泣いてるのよ私。
泣いたらダメじゃない。泣いたら……
自分の気持ちがわからない。
もう、この場にいたくない。
「……永瀬くんや、他の人からどう思われようと、、これが、私たちの普通だから…」
それだけ言って、永瀬くんの横を通り過ぎようとした。
けれど、突然腕をグイッと引かれて、
気付いときには、
永瀬くんに抱きしめられていた。
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2017年4月18日 23時
