２１歳の君。１１ ページ19
こ、これでいいかな…？
家でワンピースを試着してみたものの、
鏡にうつった自分に違和感しか感じない。
ズボンを履き慣れすぎて、スカートを履くと足元がスースーして寒い
メイクもいつもナチュラルしかしないし。っていうかできないし。。
よく考えたら、紫耀くん、なんでこんなに女子力とは無縁の私と付き合ってくれてるんだろ…。
あんな煌びやかな人ばっかりの世界にいるのに…。
６年経ってるのに疑問しか浮かばない。
と、スマホの着信音が鳴った。
相手はもちろん、紫耀くん。
「もしもし？」
「あっ！Aー？仕事終わったよー！」
「はーい、じゃああとで行くねー」
いつもの儀式。
冷蔵庫に行くと、買っておいた食材を用意して、、一応シャワーを浴びる。
何があるかわからないから…。
「帰ってきたよー！」
連絡を受けて、エレベーターに乗り込むと、最上階の少し下で降りる。
誰もいないことを確認して、非常階段を登って
最上階へ。
いつもエレベーターで直接行ってたら、誰かに気付かれるかもしれない。念には念を入れないと。
合鍵を使って部屋に入ると、紫耀くんはいなくて、シャワーの音がしていた。
シャワー浴びてるんだ。
買ったばかりの新しい食器に料理を盛り付けていると、紫耀くんが上半身裸でタオルで濡れた髪を拭きながらリビングに入ってきた。
「おかえり、紫耀くん」
声をかけると私の方を向いた紫耀くんだったけど、目を見開いて驚いた顔してる。
えっ…？
店員さんのオススメコーディネートをそのまま着てみたんだけど、、、。
変だった！？
下から上までマジマジと見てきたと思ったら、紫耀くんはいきなり抱きしめてきた。
「え？ど、どうしたの？」
「もーー！その格好で今日外歩いてたの？」
「う、ううん。部屋から着てきたよ？仕事の帰りに買ったんだー」
「本当に？俺しか見てない？」
「うん」
「なら良かったー！」
ギューっと力を込めてくる紫耀くん。濡れた髪が頬に当たる。
ど、どういうことなんだろ？
紫耀くんは私の両肩を掴んで、ジッと目を見つめて、
「そんな可愛い姿、俺以外の人に見せないでね？」
と、真顔で言ってきた。
ん？可愛い？いま可愛いって言った？
「紫耀くん、、私、この格好変じゃない？」
「変なわけないじゃん！めーちゃーくーちゃ似合ってるよ！あー！絶対外歩かないでね！そんな格好してたらAが可愛いって世間にバレちゃうじゃん！」
紫耀くんはひとりでまくしたてていた。
バレないよ？
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2017年4月18日 23時
