ＦｉｒｓｔＬｏｖｅ２*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･ (ページ17)

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金の卵ー高梨ページ17

「いいねー！紫耀くんちょっと顔上げてくれるー？そうそういい感じ！」

カメラマンの要求通りに次々とポーズを変えていく紫耀。
モード系の雑誌のイメージに合わせて、クールな表情でカメラに鋭い目線を送っている。
カメラを覗き込んだら、ファインダー越しに紫耀と目が合ってしまい、不覚にもドキリとさせられてしまった。

出会った時はまだ１５歳の子供だったのに、いつの間にこんな魅惑の表情を身につけたんだろう。

昔社長に言われた言葉。

『どんな金の卵も、孵さなければただの卵。金の鳥を生み出せるかどうかはタレント自身はもちろん、マネージャーの仕事次第』

私の仕事における座右の銘。

初めて紫耀と出会ったのは、紫耀が東京に引っ越してきた１５歳の時。
１５歳とは思えない、完成された美しい顔立ち、他を圧倒するダンススキル、それでいてひと言話すと無邪気な少年のままというそのギャップに驚かされ、

この子は、この事務所の宝になる…！

そう確信した。

３年前、私がマネージャーについたころは、まるでやる気というものが感じられず、仕事への情熱を失いかけているように見えた紫耀。

誰にでもある迷いの時期。若いならなおさら。

けれど何があったのか、突然やる気を出すようになり、どんな仕事にも意欲を持って取り組み、演技にも真摯に向き合うようになってくれた。

この３年間の紫耀の活躍はめざましかった。

今では、事務所の中ではもちろんのこと、同年代の他のアイドルや俳優の中でもトップの人気を誇っている。

そして、大女優、朝比奈葉子からの共演の指名。。
マスコミ発表されれば、話題を独占するに違いない。

間違いなく、いま、紫耀は、金の卵から金の鳥へと孵ろうとしている。

「平野紫耀さん、撮影終わりでーす！！おつかれさまでしたーー！」

撮影が終わり、周囲に頭を下げて私のところへ来る紫耀。
さっきのクールな表情がどこへいったやら、普段のフワフワとした柔らかい笑顔に戻っている。

「どうでしたかね？」
「素晴らしかったわよ。きっと売れるわよー！」
「またまたー上手いこと言っちゃって！」

顔をクシャクシャにして嬉しそうにする顔を見ると、なんて素直で純粋なんだろうと思う。
芸能界は決して綺麗な世界じゃない。
闇の面に落ちてしまう子もいる中で、紫耀はまったく変わらない。

なぜだろう。

もともとの性格なのか、他に理由があるのか。

どうであれ、紫耀にはずっと変わらないでいて欲しかった。