２１歳の君。３ ページ2
「ごちそうさまー！」
目の前の料理を完食して、満足げな紫耀くん。
「すごーい、たくさん作ったのに全部食べてくれたんだ」
「当たり前じゃん。美味しいもん」
そう言って、お皿を片付けようとする紫耀くんを止める。
「私がやるからいいよ。座ってて」
「疲れてるのはAもでしょ？一緒に片付けて、二人で休憩しよ」
紫耀くんは、私の持っていたお皿までキッチンに持っていってくれた。
「はー、休憩休憩！」
片付けが終わると、寝転んでもスペースが余るほど大きな白いソファにゴローンとする紫耀くん。
１００平米はある紫耀くんの部屋。
ひろーいリビング、６人掛けのダイニングテーブルに、コタツほどあるガラスのセンターテーブルに、ホームシアターに、寝室にはクイーンサイズのベッド。
この部屋にあるものは全部大きくて、来るたびに、紫耀くんの経済力を思い知らされる。
さすが、超人気アイドル。。
それと同時に、気を引き締めなきゃ、とも思う。
油断しないように、誰にも知られないように。
ふたりで出歩くことは絶対にないけれど、他にも、
スマホに紫耀くんの名前は登録しない。
写メは撮らない
この部屋の階に直接エレベーターで来ない。
SNSはやらない
この３年間自分で守ってきたルールがいくつもある。
幸い、これまで誰にも知られずにこれた。
普通のカップルとは違う私たちの関係。
他人から見たら、窮屈に見えるかも。
だけど、
「A？なーにしてんの？おいでよ」
ずっと変わらず、私を愛してくれる紫耀くんと一緒にいられるだけで充分。
「うん」
この幸せを守るためなら、どんなことでも耐えられるよ。
「紫耀くん、手、貸して？」
紫耀くんの手のひらを両手で包むと、優しく揉む。
「マッサージ？気持ちいー」
「店長が教えてくれたの。手が楽になるって」
紫耀くんの手、、小さめだけどゴツゴツしてる、男の人の手だ。
「店長って、、まさかAマッサージされたの！？」
「まさか。他の子にするのを見てただけ」
「ならいいんだけど」
口を尖らせる紫耀くん。すぐヤキモチ焼くんだから。
「そーだ。紫耀くん、来週火曜日って、夜も仕事だったよね？」
「うん、たぶん朝までかかると思う。なんで？」
「職場の人と飲み会するから予定聞かれて。行ってくるね」
「…うん」
なんだか不満そう。
なんで？
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2017年4月18日 23時
