私の幸せ１２ ページ44
「ももちゃんばいばーい！またあしたねー！」
「ばいばーい！」
お互いの姿が見えなくなるまで、何度も何度も振り返っては手を振って、角を曲がったところでようやくももちゃんは私を見上げた。
「楽しかったねー！」
「楽しかったね。お休みの日も遊べて良かったね」
「うん！明日も保育園で会えるの嬉しいなー！」
私と繋いだ手をブンブン振ってスキップしながら歩くももちゃん。
本当に、素直で明るくていつも笑顔で、、
母ひとり子ひとりで寂しい思いをたくさんしてるだろうけど、そんなこと少しも感じさせないくらい、天真爛漫でまっすぐな正確なももちゃん。
やっぱり、そっくり。
『すごく良い子に育ってる。頑張って育ててきたんだね、A』
不意に頭の中に響いてきた声。
「ママ、今日の晩ご飯なーに？」
私を見上げる、期待をたっぷり含んだ瞳に彼の笑顔が重なって、抑えられない焦燥が込み上げてくる。
「…ロールキャベツだよ。準備してきたから、あとは煮込むだけ。
煮込んでる間におふろはいろうね」
「うん！！やったぁ！！」
全身で喜びを表現するところも、同じ。
最近、ももちゃんに紫耀くんを重ねてばかりいる。
思い出さない日はないくらい、紫耀くんのことばかり考えてしまう。
思い出さないようにしていた日々の分まで、想いが溢れているのかもしれない。
でも、私はもう、紫耀くんの知ってる私じゃない。
心も体も、
廉くんを受け入れたあの夜から、心の中に部屋がひとつ増えた。
勇気を失いそうになるときは、その部屋の扉をそっと開けている私がいる。
『Aさんはそのままでええんよ』
紫耀くんとは少し違う優しい瞳に救われておきながら、
存在を思い出して、焦燥にかられているなんて。
ズルイ私。
手に触れる温もりの中に紫耀くんはいる。
それだけでいいはずなのに。
「ももちゃん、アイスでも買って帰ろうか？」
「うん！」
気を取り直して、近くにあったコンビニへ入ろうと道の角を曲がろうとしたそのとき、
「Aちゃん？」
背後から聞こえた声に足が止まる。
聞き覚えのある声。
振り返ってみると、思わぬ人物が驚いた顔をして私とももちゃんを交互に見ていた。
「安永の叔父さん……」
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愛 - 続きはまだでしょうか？急かしてるわけではなく、純粋にこのお話が好きすぎて続きが気になるんです！更新待ってます。 (2019年7月26日 23時) (
レス) id: 88c3d5de1a (このIDを非表示/違反報告)
すこ - 引き込まれました。キャラクターたちの心情を、一人ひとり大事に大事に書かれてるように思います。切なくて、でもお互いを大切に思っていて、すごく素敵な作品だと思います。次の更新を楽しみにして待ってます。 (2019年7月4日 1時) (レス) id: ca0d230652 (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - 更新ありがとうございます。廉くんとは…ならないんですかねぇ…これからも楽しみに待ってます。頑張ってください。 (2019年7月3日 7時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
シー(プロフ) - 1から6まで一気に読んだくらい本当に面白いです！更新頑張ってください！！ (2019年7月1日 7時) (レス) id: dfd347ea96 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - こんなに引き込まれた小説は久しぶりで、一気に読みました。続きを楽しみにしています。 (2019年6月11日 14時) (レス) id: e8aeac1cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2018年10月22日 8時
