私の幸せ１１ ページ43
地元へ戻ってから３つ目の季節が訪れた。
お決まりの遊び場となった小学校の校庭へ行くと、
戻ってきたときには桜色だった木々が暖色に色づき、無数の枯葉が木々の足元を埋め尽くしていた。
「ももちゃーん！」
「あ！みおちゃーん！」
先に来ていたお友達を見つけると、これまで繋いでいた手をパッと離し、もうお友達以外見えないみたいに一目散に走っていく。
お友達がいてくれる嬉しさの中に、ほんの少しの寂しさが混じる。この寂しさは成長していくにつれ膨らんでいくんだろう。
「あーそぼ！」
「うん！なにするー？」
「落ち葉でベッドつくろー！」
「うん！！あつめなきゃー」
２人で手を繋いで歩いていく様子を見送っていると、後ろから声をかけられた。
「こんにちは」
「こんにちは！」
みおちゃんのママだ。
柔らかな雰囲気を漂わせた感じのいいみおちゃんのママとはなにかと話が合い、連絡先を交換して時折遊ぶ仲になった。
「そういえば、来月の父親参観の日はももちゃんどうするの？」
近くにあったベンチに座りママトークに花を咲かせていると、みおちゃんのママが思いついたように言った。
保育園の父親参観。
新しい園で年に一度行われているイベントで、その日ばかりはパパ達が胸を張って保育園にやってくる。
「休もうと思ってる。…辛い思いさせたくないし…」
みおちゃんのママには、私がシングルマザーであることを伝えてある。
みおちゃんのママにはなぜか言えた。
「そうだよね…。あのさ、、うちもパパが出張で来れないから休もうと思ってたんだけど、良かったらその日遊ばない？」
遠慮がちな声色から、私に対する気遣いが感じ取れた。明朗な性格の中に垣間見える慎みにみおちゃんのママへの信頼が増す。
「いいの？」
「もちろん！」
「ありがとう…」
「うちの方こそありがとうだよ！みおも私といるよりももちゃんといる方が楽しいみたいだから…」
みおちゃんのママは遊んでいる２人に目を向けた。私も視線を追いかけると、２人はどこから集めてきたのか大量の落ち葉の山にダイブして爆笑していた。
「すごっ」
「すごーいももちゃんみおちゃん」
言いながらみおちゃんのママと２人で吹き出す。
話題を共有して同じ感情になれる人と出会えたことが嬉しい。
平凡でありふれた日々。
これがきっと、幸せの正体なんだと思う。
だからこのままでいい。
この日々を積み重ねていきたい。
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愛 - 続きはまだでしょうか？急かしてるわけではなく、純粋にこのお話が好きすぎて続きが気になるんです！更新待ってます。 (2019年7月26日 23時) (
レス) id: 88c3d5de1a (このIDを非表示/違反報告)
すこ - 引き込まれました。キャラクターたちの心情を、一人ひとり大事に大事に書かれてるように思います。切なくて、でもお互いを大切に思っていて、すごく素敵な作品だと思います。次の更新を楽しみにして待ってます。 (2019年7月4日 1時) (レス) id: ca0d230652 (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - 更新ありがとうございます。廉くんとは…ならないんですかねぇ…これからも楽しみに待ってます。頑張ってください。 (2019年7月3日 7時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
シー(プロフ) - 1から6まで一気に読んだくらい本当に面白いです！更新頑張ってください！！ (2019年7月1日 7時) (レス) id: dfd347ea96 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - こんなに引き込まれた小説は久しぶりで、一気に読みました。続きを楽しみにしています。 (2019年6月11日 14時) (レス) id: e8aeac1cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2018年10月22日 8時
