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打ち合わせを終え、会社のビルを出ると

目の前を桜の花びらが掠めた。





「満開みたいよ」


あとから来た高梨さんが上を見たから、つられて見上げると

大通りの桜並木は色づき、新しい季節の訪れを告げていた。




「春ですね」


「ね」


「花粉症の俺にはありがたくない季節です」





桜の花びらが舞うのを見ると、花粉が飛び散る様子を想像してしまう。









移動の車に乗り込むと高梨さんが手帳を取り出す。



「今日の予定だけど…」


朝から晩までギッシリの
今後の予定を頭の中に入れると、車窓を見つめた。




雲ひとつない晴天に、桜が散っている。


満開になったらあとは散るだけ。


この刹那的な光景に、人々は惹かれる。







桜を見るたびに思い出すのはあの春の日のこと。





中学の卒業式の後、ひとり東京へ旅立つ日。


君は来ると信じて待ち続けていた。


信じた通り、君は来た。


今にも倒れそうな真っ青な顔をして。


その顔を見たとき、


初めて、誰かを心から愛しいと感じた。









ツリーも、オーナメントも、ソファも、ベッドも、あの部屋も、

君の温もりが残るものは全て捨てたのに、

記憶は捨てられない。





些細なきっかけで簡単に蘇ってしまう記憶の中に残る温もりが、

今も胸を締め付ける。









君は今、幸せだろうか。









俺はなんとか、前を向いているよ。




君が、幸せであることを信じて。

瞬き→←私の幸せ10



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- 続きはまだでしょうか?急かしてるわけではなく、純粋にこのお話が好きすぎて続きが気になるんです!更新待ってます。 (2019年7月26日 23時) (レス) id: 88c3d5de1a (このIDを非表示/違反報告)
すこ - 引き込まれました。キャラクターたちの心情を、一人ひとり大事に大事に書かれてるように思います。切なくて、でもお互いを大切に思っていて、すごく素敵な作品だと思います。次の更新を楽しみにして待ってます。 (2019年7月4日 1時) (レス) id: ca0d230652 (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - 更新ありがとうございます。廉くんとは…ならないんですかねぇ…これからも楽しみに待ってます。頑張ってください。 (2019年7月3日 7時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
シー(プロフ) - 1から6まで一気に読んだくらい本当に面白いです!更新頑張ってください!! (2019年7月1日 7時) (レス) id: dfd347ea96 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - こんなに引き込まれた小説は久しぶりで、一気に読みました。続きを楽しみにしています。 (2019年6月11日 14時) (レス) id: e8aeac1cf5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピナパル | 作成日時:2018年10月22日 8時

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