聖なる夜に２ー高梨 ページ22
「…５年前、彼女に引っ越すように進言したのは私でした。紫耀を…守るつもりで…」
永瀬さんは瞬きひとつせず私を見ている。
嘘もごまかしも効かない。
私の知る真実を話すことが償いになるなら、ありのままを伝えるしかない。
「でもそれが、紫耀を別人に変えてしまうだなんて想像もしてませんでした。
もっと…強い子だと思ってたから…
…思えば、ずっと無理をしてきたのかもしれません。
中学生になってすぐに芸能界に入って、それから５年前まで、紫耀は私たち大人が求める平野紫耀そのものであり続けてくれました。
どうしてそんなことできたのか。
彼女の存在を初めて知った時に合点がいきました。
そして彼女がいなくなった途端に、紫耀は崩れてしまった。
分かりやすい話です。
華やかに見えて実は制約だらけのこの芸能界で、紫耀が紫耀でいられたのは彼女がいたから…
彼女は紫耀にとって、体…ううん、魂の一部分だったのかもしれません。
それを…私が引き離してしまった。
そして…彼女は消えてしまった」
「…妊娠…したから…」
「紫耀を守るために、そうしてくれました。
ももかちゃんの存在を知った時に、彼女が消えるしかなかった理由が分かって、、紫耀は泣いていました。なんて愚かなことをしてきてしまったんだろう、って」
脳裏に、嗚咽する紫耀の姿が浮かぶ。
自分の罪の重さに唇を噛みしめると、鉄の味がした。
「でも、そうさせたのは私。
紫耀も彼女も悪くないんです。」
…朝比奈葉子との共演なんて蹴ってしまえば良かった。
きっと紫耀なら、スキャンダルなんて跳ね除ける活躍をしてくれただろうに、
紫耀のことを１人の人間として好き、と言っておきながら、あの頃の私は結局、紫耀よりも会社を守ることを優先した…
「紫耀から最も大切な人を遠ざけてしまった、一番最悪なのは私なんですよ」
「高梨さん…」
永瀬さんの瞳が揺れている。
「ごめんなさいね。わざわざ来てもらった目的とは見当違いな方向に話が流れちゃったわね」
「……」
戸惑う姿に、永瀬さんの正直さが垣間見えた。
嘘の付けない人。
だからこそ、ここに来たんだろう。
彼女に対して、嘘をつかないために
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愛 - 続きはまだでしょうか？急かしてるわけではなく、純粋にこのお話が好きすぎて続きが気になるんです！更新待ってます。 (2019年7月26日 23時) (
レス) id: 88c3d5de1a (このIDを非表示/違反報告)
すこ - 引き込まれました。キャラクターたちの心情を、一人ひとり大事に大事に書かれてるように思います。切なくて、でもお互いを大切に思っていて、すごく素敵な作品だと思います。次の更新を楽しみにして待ってます。 (2019年7月4日 1時) (レス) id: ca0d230652 (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - 更新ありがとうございます。廉くんとは…ならないんですかねぇ…これからも楽しみに待ってます。頑張ってください。 (2019年7月3日 7時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
シー(プロフ) - 1から6まで一気に読んだくらい本当に面白いです！更新頑張ってください！！ (2019年7月1日 7時) (レス) id: dfd347ea96 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - こんなに引き込まれた小説は久しぶりで、一気に読みました。続きを楽しみにしています。 (2019年6月11日 14時) (レス) id: e8aeac1cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2018年10月22日 8時
