ＦｉｒｓｔＬｏｖｅ５*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･

はじまりーRen ページ19

アラームの音で目がさめると、横でももが眠っていた。


…そうや、昨日の夜ももが一緒に寝たいって言ったんやった。


ドア一枚隔てたキッチンからはトントンとリズミカルな音が聞こえてくる。


Aさんが朝食を作ってくれてる音。
この音を聞いて目覚めるのが好きや。


いつもやったら穏やかな気持ちになる音やのに、今日は違う。
変に緊張してしまう。



『よろしくお願いします』


昨日の出来事がフラッシュバックして、そっと自分の唇に触れた。

キス…したんやな…Aさんと…やっと…

一瞬触れただけやのに一生忘れられん感触になった。。







ドアを開けるとシンクの方をむいていたAさんが振り返った。




「おはよう」

「おはよう。ごはんできてるよ」

「ありがとう」



柔らかく微笑むと洗い物をし始めたAさん。


その姿があまりにも自然で、いつも通りやったから急に不安になって、洗い物をする背中を抱きしめた。


「…れ…廉くん…？」

「ごめん、昨日のことまだ信じられへんくて…夢やなかったよな？」

「…夢じゃないよ。
家族に…なるんだよ」


濡れた手が腕に触れる。その冷たさで目が冴える。



「俺とAさん…夫婦になるってことやんな？」

「…うん」


腕の中で小さく頷くと、彼女の吐息が腕に当たる。
思わず、抱きしめる力を強くした。
柔らかい髪の毛が顔に触れ優しい匂いに包まれると愛しさがより一層増す。



やっと…スタートラインに立った。

ここからなんや。これから、Aさんとももと俺の新しい毎日が始まる。

きっと…平野紫耀の存在はAさんの中から消えへん。

それでもええ。なにもかも受け入れるって覚悟決めたんや。





「Aさん」


肩に優しく触れて、こちらを向かせるとAさんの額と自分の額を合わせる。


「離さへんから」

「…うん」



少し上目遣いになって俺を見つめて優しく微笑むAさん。

鼻と鼻を合わせるとふふっと笑う。
その顔も可愛くて仕方ない。



「大好きや」


出会った頃からひとつも変わらない気持ちを口に出すと、Aさんにキスをした。




昨日とは違う、啄むようなキスを繰り返す。

一度すると止まらない。


勢いに押されて、後ろに引いてしまいそうなAさんの後頭部に手を添えると、

ももが目覚める音が聞こえてくるまで

何度も何度も唇を重ねた。

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