ＦｉｒｓｔＬｏｖｅ５*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･

運命の人８ ページ16

いつもなら、真剣なことを言ってもすぐにクシャッと笑うのに、今日はずっと私の目を見つめたまま。


時が止まったかのように廉くんを見つめ返したまま、何も声が出てこなかった。


「ママ？ママ？どうしたの？」


ももちゃんに手を引っ張られてハッとなる。

見ると、ももちゃんは私と廉くんを交互に見ながら不安そうにしていた。


「ゴメン、ゴメンね！ももちゃん、やっぱりもう少し遊んできていいよ？」

「いいの！？わーい！」

「ママたちのそばにいてね！」

「はーい！」



ももちゃんは水たまりで遊び出した。
廉くんを見ると、ももちゃんでなく私を見つめてる。


…本気…なんだ。


ううん…廉くんはいつだって本気だった。

遊園地のときも…その前からもずっと…。



けど…いいの…？私は…


「廉くん…私、廉くんに何も…！」


言い終わる前に、私を抱きしめた廉くん。


「なんも言わんで…今だけは…」


抱きしめる腕に力が入る。これまでと違う、痛いくらいの強さ。


「何もかも受け入れるから、俺と結婚してください」


他の男の人よりも少し高い廉くんの声が、耳の中に浸透していく。


何もかも…？まさか…

心臓が締め付けられたかのよう。


「…知ってるの…？」

「なんも知らんよ…俺が知ってるのは、、Aさんがももをどんだけ愛してるかってことだけ」


…嘘。

なんで知ったの？どうして？どこまで？
聞きたいけど、聞けない。

何も言わず、何も求めずに、もう何年一緒にいてくれてる？






目を閉じると、紫耀くんの顔が浮かんだ。

冷たい目で私を睨んでる。






……私は廉くんまで傷つけるの？


…ううん、十分傷つけてきた。


なのに、何も言わずにただ笑ってそばにい続けてくれたの。

私の弱さもずるさも全部受け入れてくれてたの。



これ以上、傷つけたくない。




「廉くん…」




初めて、背中に腕を回した。


細いと思ってたけど、広い背中。








「Aさん」


腕の力が解かれて、廉くんと見つめあった。


鼻と鼻が当たりそうなくらい近くにある綺麗な顔。


瞳が揺れて、唇が震えてる。

そっと頬に触れてみた。少し冷たい。


「これまで…何も話さなくてごめんね…」


堪えきれない涙の雫が頬を伝っていくのが分かった。



「私でいいの…？」


「…Aさんがいい」


頬に添えた手に、廉くんの手が重なった。



「Aさんやないと…嫌や…」

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