ＦｉｒｓｔＬｏｖｅ*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･ (ページ10)

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要らない子。１ページ10

『じゃあ、Aをよろしくお願いします』

おばさんにそう言って、安永家に私を置いていった母の背中。

それが、私の１番古い記憶。

その日から、毎日おばさんに怒鳴られ続ける日々が始まった。

『片付かないから早くごはん食べてよね！』

『服汚さないでよ！洗濯増えるじゃない！』

『あー忌々しい！』

おばさんにとって、私は、めんどくさくてイライラさせるだけの存在。

最初は、怒鳴られるたびに、泣いていたけれど、泣くと余計に怒られるから、泣かずに時が過ぎ去るのを待つようになった。

おじさんは、仕事が忙しいらしくて、毎日夜遅くに帰ってきて、休みの日も出かけていく。

『Aちゃん、元気にしてた？』

たまに会えるおじさんは、優しかった。

『元気だったわよねー！Aは良い子だって、近所の人にもいつも褒められるのよー』

おばさんも、おじさんの前では私に優しくしてくれた。
おばさんが、おじさんを見る目は私に向けるものと正反対で、温かくて、優しい。

あぁ、そっか。おばさんは、おじさんと二人で暮らしていたかったんだ。

それを、私が来たから壊されてしまって、だからいつも怒ってるんだ。

私のせいなんだ。

小学生のときに、一度だけ、おばさんに聞いたことがある。

『なんで、私を引き取ってくれたの？』

『この家のローン払ってくれたからよ』

そうなんだ…。
ママは、お金を払ってまで、私を捨てたかったんだ。

『Aは、忘れ物もなく宿題もきちんとやってきてえらいな！』

先生に頻繁に言われる言葉。

ずっと、学校では優等生だった。手のかからない、問題のない子。
そうしないと、またおばさんに怒鳴られるから。

おばさんの手をわずらわせずに生活していくことが私の生きる術だった。

私は、誰からも必要とされない要らない子。

これからも、この先も。

幼いながらも、自覚していた自分の運命。

それを、変えてくれたのが紫耀くんだった。