１２歳の君。４ ページ6
１１月
三者懇談の帰り以来、私は紫耀くんを避けていた。
紫耀くんも、私に仕事のことを言わなくなった。
いつも一緒にいるメグちゃんも気付いていて、昼休みのトイレでメグちゃんに言われた。
「最近年下の彼氏来なくない？」
「彼氏じゃないから」
「なんか返しが冷たい！なに？ケンカでもした？」
「ケンカするほどの仲じゃないから」
もともと、登下校一緒にしてたってだけだし。
なんで１番のファンでいなきゃいけないのか、いまだに意味わかんないし。
夢を追いかけてるのは偉いけど、、だからって、人に対して、、
「何もない」
なんて言い方、絶対ありえない。
紫耀くんのことを考えるとムカムカする。
「あの子、最近雑誌よく出てるし頑張ってるじゃん。今度テレビ出るらしいし」
「そうなの？」
「１年の子が騒いでたよ？生放送の音楽番組だって」
秋になって、紫耀くんは毎月アイドル雑誌に載るようになっていた。
夏休みの間に撮影したらしい。
平日もたまに学校を早退していて、忙しくしているようだった。
けれど、もう関係ない。
「ふーん」
たくさんファンが増えてるんだから、私ひとりいなくなっても大丈夫でしょ。
翌週。
生理痛がひどくて、授業中に保健室へ行くと、先生がいない。
ベッドに誰か寝ているらしく、白いカーテンで仕切られていた。
「先生…いないのかな…」
独り言を言うと、
「A？」
白いカーテンの向こうから声が聞こえた。
中を見ると、ベッドで紫耀くんが真っ青な顔をして寝ていた。
「紫耀くん！どうしたの？」
その顔色の悪さに驚いて、怒っていたことも忘れてしまう。
「ちょっと高熱出ちゃって…」
「大丈夫？病院行かなきゃ！」
「ただの疲れだから大丈夫。たてるし…」
いや、そんなげっそりとした顔で大丈夫と言われても！
すると、先生が入ってきた。
「紫耀くん、いま親さんに連絡したから。今日のお仕事は休みなさい。いいわね？」
「嫌です！」
先生の言葉に、死にそうな顔をしてたのに、大きな声を張り上げた紫耀くんにびっくりする。
「ずっと出たかった生放送なんです！だから、絶対出ます！！」
そう言うと、紫耀くんは無理に起き上がりベッドから降りて立とうとした。けれど、フラフラの足は体を支えられず床に膝をついてしまう。思わず駆け寄る。
「紫耀くん！そんな体では無理だよ！」
紫耀くんの腕を持とうとすると、
「触るな！」
力なく振り払われた
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2017年4月18日 23時
